好きな色
君が着ている淡いブルーのワンピース
君の髪をきれいに魅せる水色のリボン
君の耳元で揺れるアクアマリンのイヤリング
君の細い首にかかるブルートパーズ
水色が好きなの?
そう尋ねるといいえと首を振る。
あなたが水色が好きって言ったから
そう言ってから、真っ赤な顔をする
あなたが好きな色をたくさん身につけたら、ずっと私を見てくれると思って…ダメかしら?
違うよ。
君に好きって言いたかったのに水色が好きって言ってしまったんだ。
今は水色が一番好きだよ。君が好きだから。
真っ赤なリンゴも好きかな。
今、2人とも真っ赤なリンゴみたいだから。
相合傘
僕たちの国では雨は降らない。降る時は干上がった川の名残りが、昔の勢いをあっと言う間に取り戻してあっと言う間に巨大な蛇から龍のようになり辺り一面を攫っていく。後には眠っていた草花が芽吹き一瞬のオアシスを作り出して、高台で見ている僕たちを和ませてくれる。
だから、雨降りには相合傘なんかで歩けない。
その代わり、暑い陽射しを少しでも和らげる為に日傘をさして歩く。ここで肝心な事は目当ての彼女を素早く見つける事だ。
日傘には冷却機能が少しついている。
上手く彼女に大きな僕の日傘に入ってもらえたらしめたもんなのだ。
でも、なぜか顔が熱くて汗が出てきてしまう。
汗で嫌がれないかな。話しもグダグダなら最悪。違う傘に行ってしまうからだ。
一瞬の相合傘だけど近くで話しができるのは嬉しい。
内緒の話しも出来るから。
あっ!母ちゃんが日傘忘れて僕めがけて突進してきた。
仕方ない。荷物を持ってやって家まで保護してやるか。
まだ母ちゃん以外は僕の傘には入った事がないけど。
落下
落ちる!そう自覚した途端、身体がビクンと跳ねた。
記憶がはっきりしないが、電車の中だった。
ウトウトしていてなったようだ。
本当に落下した気分なのだが、ちゃんと現象の説明があるらしい。
『ジャーキング現象』というらしい。
疲れているらしい。
電車結構混んでいるのに恥ずかしい。何事もなかったような顔でスマホをいじる。
もうすぐ降りる駅だ。寝るなよ。自分。
終点からは嫌だな。高さがあるし、障害物多いし。
ハタと気がついた。終点だ。今日は折り返しはない。
諦めて電車を降りると仲間らしい数人と目が合い、互いに苦笑いをする。
そのうち、お先にというようにホームの端からダイブしていく。バサっと背中から羽が生えて滑空していく。
仕方ない。覚悟を決めて宙へ飛び出す。
荷物なくて良かった。
しかし、羽で通勤は渋滞するから電車使えっていうのは退化を求められているのだろか?ジャーキングの方が怖いのに。
朝日の温もり
涙が溢れた。
気候変動が激しい為、今までのような春夏秋冬は愛でる事は出来なくなり、どのくらいが過ぎたのだろうか。
今朝は放射冷却のせいでとても寒い。
それでも、珍しく雲もなく晴れた。
日が昇り沈む。こんな当たり前が続くと思っていたのは幼い時だ。
朝、早く起きて食事をして学校へ行けと毎朝のように言われ、学校へ行き、友達と他愛ない話しをして、帰宅して夕食に文句を言って叱られて、早く風呂に入って寝ろと、皆が寝た後も何かしらしていた両親。
暑い寒い言っているんじゃない!お天道様はいつもみているんだからね。悪さをして叱られる時はそう言って朝日の当たる時間に起こされて、説教された。
思い出すものなんだな。
少しずつ温かくなっていく。
年老いた両親が誇らしそうに座っているのがモニター越しに見えた。
惑星移住計画の推進のために乗り込んだ片道切符の飛行船はエンジンがかかり、身体に圧がかかり一気に天に昇る。モニター越しの両親は泣いていた。
移住先でも朝日は温かいだろうか。
お天道様は見てくれるだろうか。
朝日の温もりをくれるだろうか、二人を思い出す為に。
加速がかかると眠くなってきた。
到着までは冷凍睡眠だ。朝日が起こしてくるかな。
早く起きろと。
岐路
別れ道だ。
最短で目的地に着くか、遠回りで色々考えさせたりする事をさせるか。
盤上の駒を見ながら考える。
こんな事ばかりもう長い間やっている。
先は書かれていないため毎度悩む。
選択肢は山ほどある。
簡単なのはリセットする事だ。
そうすればありとあらゆる天変地異で世界は一新する。
それもなぁ、どうなんだろうか?
そもそもゴールはなんだっけ…次元上昇による覚醒…だったか。そうすれば、この盤もグレードが上がるんだよな。あれ?リセットしなくても天変地異があるぞ。
ん?何度か同じ事繰り返すと強制発動するってか。
あらら…始まってた。これは生き残る者に託すタイプか。リセットよりはマシか。
駒は最短でゴールを目指すように進めた。
最近、多いな。まぁ、リセットは生き残らないからな。
誰も。