朝日の温もり
涙が溢れた。
気候変動が激しい為、今までのような春夏秋冬は愛でる事は出来なくなり、どのくらいが過ぎたのだろうか。
今朝は放射冷却のせいでとても寒い。
それでも、珍しく雲もなく晴れた。
日が昇り沈む。こんな当たり前が続くと思っていたのは幼い時だ。
朝、早く起きて食事をして学校へ行けと毎朝のように言われ、学校へ行き、友達と他愛ない話しをして、帰宅して夕食に文句を言って叱られて、早く風呂に入って寝ろと、皆が寝た後も何かしらしていた両親。
暑い寒い言っているんじゃない!お天道様はいつもみているんだからね。悪さをして叱られる時はそう言って朝日の当たる時間に起こされて、説教された。
思い出すものなんだな。
少しずつ温かくなっていく。
年老いた両親が誇らしそうに座っているのがモニター越しに見えた。
惑星移住計画の推進のために乗り込んだ片道切符の飛行船はエンジンがかかり、身体に圧がかかり一気に天に昇る。モニター越しの両親は泣いていた。
移住先でも朝日は温かいだろうか。
お天道様は見てくれるだろうか。
朝日の温もりをくれるだろうか、二人を思い出す為に。
加速がかかると眠くなってきた。
到着までは冷凍睡眠だ。朝日が起こしてくるかな。
早く起きろと。
6/9/2024, 10:10:46 PM