輪手輪ダーリン

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9/5/2023, 4:00:25 AM

『キラキラ』

今日も激務だった。

仕事から家に帰り、寝室に入ると
猫がベッドのまくらのど真ん中で
気持ち良さそうに寝ていた。

当然だが、おかえりの挨拶はない。

『いい身分だね』と皮肉を言ってみたが
全く反応はない。

お腹がすいていたので、軽く夕食を取ろうと準備をする。

すると、あれほど反応がなかった猫が
ニョキっと立ち上がり
ご飯をくれとすりよってきた。

この時だけは一丁前に甘えてくる。

『俺はまだご飯食べてねえんだよ』
と言いつつも、先に猫のご飯を作る。

ようやく夕食を食べれるかと思ったら
今度はお尻をポンポンしろと催促してきた。
 
『猫だから許されるんだからな。ヒゲ面でわがままで、無愛想で、甘えん坊の中年なんか。』とブツクサと言いながらもお尻をポンポンと叩く。

頭も撫でて欲しいのか、顔を向けて俺を見つめてきた。

瞳がキラキラして綺麗だった。
金色の瞳、不純物が全くない。
湧き水に砂金の粒を散りばめたような瞳。

この瞳を見ていると、自分も他人も世界も
全て綺麗なものに見えてくる。

『明日も頑張ろう』

9/3/2023, 9:55:43 AM

編集中

9/1/2023, 2:18:09 AM

『不完全な僕』



完全であれば、それ以上は無い。

そこに創造の余地は無く、それは知恵も才能も愛も
立ち入る隙がないことを意味する。

不完全に人は希望を見出して、愛を育み
足りない部分を補うべく進歩するのだ。

完全とは絶望である。

過去に存在した何物よりも素晴らしくあれ。

しかし、決して完全であってはならない。

不完全な世界で良かった。

不完全な僕で良かった。

8/30/2023, 12:17:33 AM

『言葉はいらない。ただ…』


俺たち二人は親友だった。

奴と出会ってかれこれ十年になるだろうか。

この十年という期間、関係性を維持していくのに不可欠であったことが一つだけある。

それは、どちらかが負けを認めるまで徹底的に殴り合うこと。

互いに対して溜まった鬱憤を、拳でぶつけ合うのだ。

他の人間には理解できないだろうが、俺たち二人にとっては、言葉より拳で語る方が雄弁であった。

そして今日、俺たち二人は公園のベンチに並んで座っている。

二人は互いに傷だらけになった顔を見つめて、微笑みあった。

8/24/2023, 1:19:26 PM

【動物縛り しりとり】

男『ガゼル』

女『ルリカケス』

男『スズガエル』

女『ルリビタキ』

男『キツネザル』

女『ルビー蝋虫』

男(つ…強い…)

男『シシバナザル』

男(さすがにこれで決まっただろ…『ル』から始まる動物はもうない!終わりにしてさしあげます!!)

女『ルリシジミ』

男『?!』

男(強すぎないか…?このお方は生物学者ですか?
ミから始まりルで終わる言葉がない…
仕方ない。返し辛そうな濁点で!』

男『ミズクラゲ!!』

女『ゲンジボタル』

男(ギャャァァァァ)

男『………』

男『ル…ル…』

男『ルーマニアデビル!!』

女『そんな動物いないわ。タスマニアデビルでしょ。ルーマニアヤマネコならいるけど』

女はにっこりと笑った。

男は二度とこのお方とは動物しりとりをするのはやめようと、心に誓った。

男『類人猿』




【やるせない気持ち】

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