『言葉はいらない。ただ…』
俺たち二人は親友だった。
奴と出会ってかれこれ十年になるだろうか。
この十年という期間、関係性を維持していくのに不可欠であったことが一つだけある。
それは、どちらかが負けを認めるまで徹底的に殴り合うこと。
互いに対して溜まった鬱憤を、拳でぶつけ合うのだ。
他の人間には理解できないだろうが、俺たち二人にとっては、言葉より拳で語る方が雄弁であった。
そして今日、俺たち二人は公園のベンチに並んで座っている。
二人は互いに傷だらけになった顔を見つめて、微笑みあった。
8/30/2023, 12:17:33 AM