輪手輪ダーリン

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『キラキラ』

今日も激務だった。

仕事から家に帰り、寝室に入ると
猫がベッドのまくらのど真ん中で
気持ち良さそうに寝ていた。

当然だが、おかえりの挨拶はない。

『いい身分だね』と皮肉を言ってみたが
全く反応はない。

お腹がすいていたので、軽く夕食を取ろうと準備をする。

すると、あれほど反応がなかった猫が
ニョキっと立ち上がり
ご飯をくれとすりよってきた。

この時だけは一丁前に甘えてくる。

『俺はまだご飯食べてねえんだよ』
と言いつつも、先に猫のご飯を作る。

ようやく夕食を食べれるかと思ったら
今度はお尻をポンポンしろと催促してきた。
 
『猫だから許されるんだからな。ヒゲ面でわがままで、無愛想で、甘えん坊の中年なんか。』とブツクサと言いながらもお尻をポンポンと叩く。

頭も撫でて欲しいのか、顔を向けて俺を見つめてきた。

瞳がキラキラして綺麗だった。
金色の瞳、不純物が全くない。
湧き水に砂金の粒を散りばめたような瞳。

この瞳を見ていると、自分も他人も世界も
全て綺麗なものに見えてくる。

『明日も頑張ろう』

9/5/2023, 4:00:25 AM