芸術というステータスがあるのなら
神様は美術にそれを振ったのだろう
どんなに音楽をやっても
上達もしなかったし、
楽しいとも思えなかった
それよりも云と
文字を書くことや
絵を描く方が時を忘れられた
上手いかはおいといて
私の心にあるものを
誰かに表現出来るものとして
それらがあるのは誇らしいが
同時に音楽の才がある人がとても恨めしい
文字で直接描写するでもなく
絵で情景を描くでもなく
音階でそれを想起させる
音の並び 音の重なり
それらで情景を聴衆に魅せる
「Summer」や「きときと」は素晴らしい
見えないはずの澄み渡る青空がありありと見える
涙を流していた
私も音で自分の芸術を表現してみたかった
無いものをどんなに羨んでも仕方ない
自分のやり方で
神様に与えられた方法で
今日も表現する
〜優越感、劣等感〜
昔はネコになれた
もう今はなれない
なり方が分からなくなった
中学2年生くらいまでは
ネコによくなっていた
ネコになれば、
誰からも嫌われないと思っていたから
でも、自分のことが嫌いな人は
ネコであろうとなかろうと
嫌いだろうし、
全世界の人間に好かれるなんて
無理な話だと知った
その瞬間に化けの皮が剥がれ、
私はネコになれなくなった
ネコを演じる必要のない自分は
とても生きやすい
しかし、一つ疑念が湧く
ネコじゃない私は1人と思っていたのに、
どうやら違うのだ
家での私
中高の友達の前の私
大学の友達といる時の私
職場での私
全員別人な気がした
今の私はなんだろう
本当の私は誰だろう
これまでずっと謎だった
きっとこれからも謎のまま
〜これまでずっと〜
恐怖で飛び起きた
落下の衝撃で目が覚めた
私はベッドの上にいた
背中にパジャマが張り付き
目に涙が溜まっていた
とても怖かった
誰かに追いかけられ
崖から突き落とされた
一体誰に追いかけられたのだろう
顔はモヤがかかったように
思い出せない
ひとまずシャワーを浴びる
髪を濡らしながら考える
あれは誰だったんだろう
もはや、誰に何のために
追いかけられていたのだろう
夢が薄れていく
新しいパジャマに取り替えて
冷蔵庫から牛乳パックを取り
コップに少し注ぐ
誰に何をされて怖かったのだろう
もう怖い夢を見たこと以外
何も覚えちゃいなかった
人ってよく出来てるなぁ
なんて感心しながら
夜明けとはいえ
みんな寝静まる町を眺め、
牛乳を流し込む
〜目が覚めると〜
友達はテストの点数がいつも良かった
私は友だちに聞いた
なんでいつも点数がいいの?
復習してるからかな?
復習するなんて、スゴイね
小さい時からやってるから
別に普通だよ
私は彼女の当たり前を尊敬し、
私の当たり前にしようとしたけれど
遂には身につかなかった
私はいつも美術の評価が良かった
友達が私に聞いた
なんで絵が上手いの?
小さい時から絵を描いてたからかな?
そんなに絵を描いてきたなんてスゴイね
好きでやってることだから
別に普通だよ
普通だなんて言ったが、
本当はすこぶる嬉しかった
自分の当たり前を褒められることは
自分の中身を褒められるように
変にくすぐったくなる
自分の今までを褒められるように
幸せでいっぱいになる
そして、当たり前が身体の一部になっていく
私は思った
末に、身体と同化した当たり前を
人は才能と呼ぶのではないかと
私の当たり前はあなたと違う
あなたの当たり前は私と違う
あなたが当たり前だと思ってることは
誰にとっても当たり前のことではない
あなたが文章を綴ることだって
私が書き起こす文字だって
みんなの当たり前ではない
いつか素晴らしい才能になるんじゃないか
なんて、偉そうに私は文字を綴った
〜私の当たり前〜
星が綺麗な理由は何故か
それは宇宙のどこかで
恒星が燃えているからだ
今照らす光はうんと前に生まれた
今見える光はうんと先で死んだ
星の光は星が生きた証
だから綺麗
夜景が綺麗な理由は何故か
それは無数の灯の下で
人生が燃えているからだ
今照る灯の下ついさっき命は灯された
今見てる灯の下今も命が燃えている
夜景の灯は誰かが生きてる証
だから綺麗
〜街の明かり〜