くっか

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6/29/2025, 12:48:05 PM

キッと自転車を止めた
息をのんだ
狭い路地で
漁網のごとく張り巡らされた電線から覗く
それは
昨日の大雨が嘘のような
否、洗われたおかげか
吸い込まれるような青だった

蒼天、天色、紺碧…
表現する言葉は多々あるが
私の頭には何故か「蒼穹」と浮かんだ
使ったこともどこで聞いたかも分からないが
これこそがと思った

昨夜の雨は地面に青い孔を穿ち
気体の分子は青を取り込み
水底に立っている心地がした

銀翼が筋を描き泳ぐ
ひっきりなしに耳に届いた蝉の聲は
今はどこか遠くに聞こえる
1人世界から切り取られた私は
蒼穹の底で息を吐く
呼気は夏の青い空気と混ざった


〜青く深く〜

6/25/2025, 11:58:22 AM

学生の間頑張ってきた活動が
もう少しで終わってしまう

活動始めたては
目の前のことで手一杯だったが
後輩ができると
周りを見る余裕が出来た

余裕を持って見渡すと
同期の凄さが目についた

あんな中心になって盛り上げる力も
周りを気遣う広い視点も
後輩に慕われる人柄も
卒なく仕事をこなす見えない努力も
一歩引いてサポートすることも
何でもやってみる行動力も
どんな時もマイペースにいられる余裕も
いつも明るい笑顔も

何も自分は持っていなかった

私は皆に貰ってばかりで
何を返すことが出来るのだろう
置いてかれるような 焦りがあった

自分が出来ることを取り組んだ
でも どんなに頑張っても焦燥感を感じる
ほんとにいい人ばかりで仲の良い同期に
こんなどろりとした感情を向けている
空っぽの自分が嫌になった

ある日 先輩から言われた
「あなたの代があれだけ仲がいいのは
 あなたが同期が好きだと
 常に発信しているからだと思う」

ハッとした
私も皆に返せていたんだ
空っぽと思っていた自分に満ちる愛を
小さく沢山伝えらていたんだ

もうすぐ活動が終わってしまう
同期に最大限の感謝と
小さな愛を込めて

〜小さな愛〜

6/24/2025, 12:54:23 PM

葉桜が青々と茂る5月 
田舎の祖父の家
ウッドデッキに並べられた座布団は
日光を含んで 所謂おひさまの匂いがした

ふかふかになった座布団を潰すように
幼い頃の私は大の字に寝転がり
青空を拝んだ

日焼けを恐れず
私は何十分も空を観察した
都会では感じない空の広さ
速い雲は近くを泳ぎ 
遅い雲は遠くを流れる

空が青いのは空気の層によって
宇宙の色が薄まったからかなぁ
それだと夜も青空になるなぁ
なんて調べもせず考え
いくつもの雲が 私の前を泳ぎ去った


空がなぜ青いのか 
真相にたどり着けなかった私も
これだけはわかった

空はこんなにも
広くて 深いんだ

〜空はこんなにも〜

4/10/2025, 1:53:16 AM

小学校の時の同級生が中学校にいる
私の高校の時の友達と喋っている

「昨日のテレビ見た〜?」

何気ない日常を送っている
教室には私の人生のオールスターズが集結していた

私と関わったことがあるという共通点だけで
会ったことのないであろう人同士が仲良く話している

夢だと分かっているので
目の前の二人の話を半分聞きながら
辺りを見渡す

いっくん小学校の卒業式以来だなぁ
のりぴー変わんないなぁ
りんちゃん相変わらず声がデカいなぁ

みんな元気かな
元気にしてるといいな

〜元気かな〜

9/20/2024, 3:49:41 PM

よく友人と遊びに行って
思うことがある

なんて愛おしい時間なんだと

人生という尺度で見れば短い時間
もう覚えてもいない中身のない会話
何をそんなに笑っているのだろう
本当にしょうもない時間だ

ただただあっという間に過ぎていく
それなのに愛おしくてたまらない
最後に走馬灯を見れるのなら
こんなしょうもない時間たちを見せてほしい

そんな大切にしたい時間を忘れたくなくて
スマホを手に取り、
ぱしゃり
時間を切り取る

そして現代っ子には珍しいだろうが
手に取れる形にして
ノートに時間たちを貼り付ける

何時でもその愛おしい時間たちが
ノートを開けば走馬灯のように駆けていく

〜大事にしたい〜

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