キッと自転車を止めた
息をのんだ
狭い路地で
漁網のごとく張り巡らされた電線から覗く
それは
昨日の大雨が嘘のような
否、洗われたおかげか
吸い込まれるような青だった
蒼天、天色、紺碧…
表現する言葉は多々あるが
私の頭には何故か「蒼穹」と浮かんだ
使ったこともどこで聞いたかも分からないが
これこそがと思った
昨夜の雨は地面に青い孔を穿ち
気体の分子は青を取り込み
水底に立っている心地がした
銀翼が筋を描き泳ぐ
ひっきりなしに耳に届いた蝉の聲は
今はどこか遠くに聞こえる
1人世界から切り取られた私は
蒼穹の底で息を吐く
呼気は夏の青い空気と混ざった
〜青く深く〜
6/29/2025, 12:48:05 PM