春ノ花

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1/21/2026, 3:54:11 AM

海の底

『またここかぁ』
私は少しの浮遊感を感じながらもうずくまる
いつも見る夢
真っ暗で何もない場所に私は一人でいる
ここでは声を出すことができない
そして私が考えることはいつも同じである
バーミントさんのこと
小さい頃私は初めてバーミントさんのことを見て、魅了された
この人に近づきたい、この人みたいになりたい、それは強い憧れだった
それはまるで自分で自分を束縛しているよう
私の思考には自由がない
私はそんな不純な理由で軍へと入った
そこで運よくバーミントさんの側近として働かせてもらった
最近では休日まで共に過ごす日も増えていた
バーミントさんとの物理的な距離が近づくにつれて、本当の距離が遠いことに気づく
私はすごい人になんかなれない

「オリーブ!」
私は名前を呼ばれて目覚めた
「魔人が攻めてきた!すぐに支度をしてくれ」
バーミントさんのそんな言葉をきっかけに私は直ちに支度をする

この世界には神からの授かりものの『華』をもって生まれる女性が稀に現れる
その『華』とは、言わば魔王軍に立ち向かうための魔術、特殊能力なのである
私が住むこの小国にはそれをもって生まれた女性はいなかった
今目の前にいるバーミントさんにも華はない
しかし、バーミントさんは違っていた
華を持たずしても類まれなる身体能力、判断能力により、この国で最も強い剣士として名高い人物なのである
そしてその強さは、華を持たないこの国だけでなく、
華に溢れている世界においても、華を持たないバーミントさんが魔王に最も近い唯一の希望と見られている
それほどにバーミントさんは強い
世界最強の剣士なのである

私とバーミントさんは馬を走らせて、戦地へと到着した
朝だというのに空は真っ黒に染まっている
そこではもうすでに戦いが始まっていた
軍の仲間たちと、魔王軍の魔物たちとがそこらで戦っている
「私が来た!アンガス•バーミントだ!私が敵の首を取る!道を作れ!」
バーミントさんはそう猛々しく叫んだ
「「「おー!!」」」
バーミントさんの登場で戦況が一変したように感じた
仲間たちに活気が出て、バーミントさんが通る道を作るように攻め込んでいる
「さぁ行くぞ、オリーブ」
「はい!」
私はバーミントさんについていく
いつもそうだ
敵の首領、魔人がいる場所へと繋がる道を進む

私とバーミントさんはこの魔物たちの一団の首領と相対した
その姿はまるで人形のようだった
全身の節々にはわかりやすく関節が目立っており、その無機質な様相はまさしく人形劇の人形だった
それが私たちと変わらないようにそこに立っている様子は気持ち悪さを感じさせる
「キタナ、アンガス•バーミント、オマエ、サエ、イナケレバ、マオウグン、モ、セカイヲ、セイシタモ、ドウゼン」
その話し方や動きは肌を舐められるように違和感と気色悪さがあった
「そうか」
バーミントさんは馬から飛び降り、その魔物へと剣を構える
「キョウ、ココデ、オマエ、」
魔人の首は宙を飛んでいた
そして気づけばバーミントさんは魔人の奥に佇んでいた
事は一瞬で片付いた
魔人に話す暇すら与えず、バーミントさんは首を取った

人形のような魔人の頭も体も地面に伏していた
バーミントさんはこちらへ駆けてきた
そして私の横まで来ると、戦いの終わりを告げる叫びを上げた
「みな!、、っ!」
しかし、それはできなかった
「ヒト、ノ、ハナシ、ハ、サイゴマデ、キカナイト、イケナイ」
地に伏していた魔人は立ち上がっていた
バーミントさんはもう一度魔人へと向き直り、剣を構える
「ソウ、オシエテ、モラッテイル、ダロ、マァ、ワタシハ、ヒトデハ、ナイガ」
そう言った魔物は最初と変わらぬまま体と頭は元通りとなっていた
「どんな魔術を使った!?オリーブ!見ていたか?」
バーミントさんは少し驚きつつも魔人から目も剣先も離さず、私に問いかける
「いや、見ていませんでした。すみません」
私は戦いが終わったと思い、気にしていなかった
「謝る前に構えろ!気を抜くなよ」
そう言われて、私も剣を構える

私とバーミントさんとでもう8度以上は首を切った
それでもこの魔人は起き上がり、頭と体はお互いに引き合ってくっつく
その不気味な光景を何度も見ていると吐き気がしてくる
そして、2人とも想像以上の長期戦に疲弊していた
人形のような魔人は奇妙な動きで近寄ってきては首を絞めようとしてくる
物理法則なんて無視したような動きは私たちを混乱させた
「なにか打開策を考えなければ」

首を絞められてはもう片方がその腕を切り落としてを繰り返していた
その時だった
「オリーブ!後ろ!」
私は後ろを振り向く
そこには今目の前にいたはずの人形の魔人がいた
私は首を絞められる
あまりにも速い移動速度とまだ慣れないその不気味な容姿を目の前にして驚きながらも、私はもがく
バーミントさんはこの人形の腕をなかなか切ってくれない
そしてもがきながらもバーミントさんの方を向くと、私は身の毛がよだつ
バーミントさんは何十体もの人形に囲まれていた
それに剣を振って、バーミントさんは交戦していた
それで手一杯で私の手助けができない様子だ
私はもがき続ける
強い力に振りほどくことができない、そして長期戦による疲弊でこちらは力が入らない
私はだんだんと意識が遠のいていく
『そうか、長期戦で疲弊させてから多勢で攻める。そういう作戦だったんだ。だからあえて何度も切られることに躊躇いがなかった』
今気づいたところでもう手遅れである
私の意識はもう途絶えていた

『またここかぁ』
私は少しの浮遊感を感じながらもうずくまる
いつも見る夢
真っ暗で何もない場所に私は一人でいる
ここでは声を出すことができない
『私、死んだのかな』
そんなときでも私が考えることはいつも同じ
『バーミントさんは大丈夫だろうか』
そう考え込んでいると、前から輝きを放った何かがこちらへと向かってくる
眩しくて目が霞む
「君はまだここに来るべきではない」
その光はそう告げる
『でも、私にはもうどうしようもない。あの魔人の倒し方なんてわからない』
声は出ないがそう心の中で言う
「それは関係ない。君は本当にこのままでいいと思っているのかい」
『だって、どうしようも、、、』
私はそこでやっと気づいた
自分の命なんかよりも、バーミントさんのことが心配なのだ
私の憧れのバーミントさん
憧れ、それはすなわち『好き』ということだ
そんな最愛のバーミントさんを死なせたくない
そう思った瞬間、光輝くそれが鮮明に見えた
それは魚だった
そして、それに気づいたと同時に周りにたくさんの淡い光がいくつも現れる
それはまるで、月
そこにはクラゲが無数に浮遊していた
その光景は夜空の星のようにきれいだった
「ここは海の底?」
私は声を出せた
「もう大丈夫だね」
光輝く魚はそう言った
私の体は浮かび上がる
それはまるでクラゲのように浮かび上がる
そしてそのまま勢いよく上昇していく
私は水面から飛び出した

「オリーブ!」
私は名前を呼ばれて目覚めた
「なに?これ、どういうこと」
私は困惑した
私の体は空へと浮かび上がっている
下には魔物たちと戦う仲間たちや人形たちと戦うバーミントさんが小さく見える
その光景が見えて、今の状況の危険さにやっと気づく
「落ちる?!」
私はこの高さから落ちたら死ぬと思った
「えっ、なにこれ」
私の足は空で止まる
まるで空を地として立っているように足元にだけ安心感がある
そして、一歩を出す
私は空を歩いている
「これは、華?」
こんな異常現象はそう捉えるしかなかった
そして私は空を歩きながら違和感に気づいた
バーミントさんが戦う人形たちには糸が伸びていた
その糸は真っ黒に染まる空へと繋がっていた
それを客観的に見た時に感じた
下で動くマリオネットと真っ黒な空は操演者である
「これが本体か」
私は剣を構える
そしてまるで自分のものにしたように、空を駆ける
私は黒い空を真っ二つに斬った

黒い空を斬ると、そこには眩しい太陽、そして永遠に広がる青い空があった
下を見れば、バーミントさんを取り囲んでいた人形はすべて消えていた
「オリーブ!大丈夫か?!何があった!」
下からバーミントさんが呼びかけてくれた
私にもまだ理解しきれなかった
それでも青くなった空をさらに歩いてみる
私は気持ちが高揚していた
空を歩くことが楽しかった
そしてバーミントさんへと報告する
「私!自由になったみたいです!」

1/20/2026, 1:31:48 AM

君に会いたくて

「先生。相談したいことがあります」
私が職員室から出ると、そこには私が受け持つクラスの生徒、途廻(とまわり)くんがいた
「じゃあ、歩きながら話そうか」

私と途廻くんは2人並んで、放課後の廊下を歩く
2人の足音だけが響く廊下には窓から真っ赤な夕日が照らされている
そこで途廻くんは話してくれる

「僕って変ですか」
途廻くんの声は足音へと消え入るようだった
「ん〜、どうだろうね。なんでそう思ったの」
深く詮索するのは躊躇うかもしれなかったが、私からしたら根本の部分を少しでも知っていないとこの相談をどうこうできないと思い聞いた
「はい、、」
途廻くんは立ち止まり、窓から校庭を眺める
私も隣に立ち止まり、校庭を眺める
そこにはいろんな部活動の生徒たちがたくさんいた
そして途廻くんは口を開く
「みんなが好きなものを僕は好きになれないんです。
みんなは同じ話題で盛り上がっていて、僕はそこに入れない。
好きなフリをしてみんなの中に入ることはできるんだろうけど、そのみんなの中に入りたいとはあまり思えなくて、
それで結局みんなから逸れた外に僕は一人でいる」
「途廻くんは、変わってるかもね」
私はできるだけ愛想よく言った
「えっ、やっぱりそうですか、」
「でもそれは、途廻くんが思っている変わってるとは違うかな。もちろんいい意味でだからね」
「いい意味で?」
「そう。私が思うに、人の性格は環境によって変わる。
どんな場所で育ったか、どんな人と関わってきたか、どんな選択をしてきたか、そういう後天的なものが人の性格を形作ると思う。
だから、人の数だけ性格もある。この世に全く同じ人なんて存在しないんだよ。
他の人と違っているのなんて当たり前」
「はい、」
途廻くんの頭の上には疑問符が浮かんでいる
私は少し逸れた話になってしまったと、その疑問符のレバーを動かし、元のレールへと戻す
「途廻くんは『みんな』って言葉を多用してたよね。
よく『みんな』って主語を大きくして語る人は自分を大きく見せるためとか、逆に悲劇の主人公になるために使うことが多いけど、
さっきの途廻くんの『みんな』の使い方やその口調はそんな風には聞こえなかったかな。」
「はい、」
「みんながいて、僕がいて、そしてそれを途廻くんは客観的に見ている。
それってなかなかできないことだよ。
だから途廻くんは変わってると、私は思ったかな。」
「ありがとうございます。そう言われると、変でもいいかもって思えそうです」
途廻くんは最初に比べてだいぶ柔らかい表情になっていると感じた

「ちなみにさ、途廻くんが好きなものってなに」
私は途廻くんを校門まで見送ろうと、一緒に廊下を歩いて向かっていた
そこで私は聞いてみた
「奏多尊(かなたたける)さんっていうピアニストです」
「あぁ、懐かしい。天才少年ピアニストだよね」
一昔前に話題になった人だと私は思い出した
「そうです、今は元天才少年ピアニストって揶揄されていますけど。
僕は未だに好きで、最近だと『君に会いたくて』って曲が良くて。
でもだいぶ前に話題になった人だから誰も知らなくて、」
「大丈夫、私は知ってたから。」

1/19/2026, 1:52:43 AM

閉ざされた日記

「着いた、ここが目的の図書館だ」
バーミントさんは全く息を切らしていない声で言う
「すごい、大きいですねぇ」
それに対して私はここに辿り着くまでの長い坂を登ったことで息を切らしていた
「大丈夫か、オリーブ。少しベンチで休むか」
バーミントさんは膝に手をついて荒い息になる私に気遣ってくれた
バーミントさんは強さだけでなく、独りよがりではないやさしさも持ち合わせている
いつまでも付いていける人だと再認識する
「はい、ありがとうございます」

図書館の前庭にある池の側のベンチに2人で腰掛ける
まわりは生垣で囲われて、強い風から防いでくれる
冬の寒さはそこまで感じなかった
横のバーミントさんを見ると、池を眺めるその顔はやさしさに満ちあふれたものだった
戦場で見る顔とはまるで違うのだ
その差に私は胸を打たれる
気づけば私はもう息が整っていた
「もう大丈夫です、ありがとうございます」
「そうか、では館内に入ろうか」
そうして立ち上がると、生垣の向こう側に小さくなった街が見える
私たちがどれほど長い坂を登ってきたのかがわかるほどに街は小さい
そして、顔には自然の香りを思わせる風が吹く

「おぉすごい」
私は思わずそう口にしていた
図書館内は外の空気の澄んだ緑とは違い、落ち着く空気が広がる褐色だった
そして外観からは想像もつかないような広さがあり、それに準じて数え切れないほどの本が敷き詰められていた
本の背表紙が途切れることなく繋がれている
「街外れの坂の上にあるこの図書館は、この世の中の情勢なんかを忘れさせるほどに、時間がゆっくり流れている。
それが落ち着いた空気を漂わせていると私は感じる。
そして、窓際の席で本を読むのが私は好きなんだ。街の眺望が綺麗に見える。」
バーミントさんは静かにそう告げる
普段戦場で聞くバーミントさんの言葉には人が魅入るような重みがある
しかしここで聞く言葉には違った意味で魅入るものがある
それは美しい表現である
そしてバーミントさんと私はそれぞれで、本棚を見て回り、好きな本を見つければ、好きな場所で読む

私は慣れない図書館にどんな本を読んでいいか悩んだ末に、かわいいイラストの描かれた絵本を手にして読んでいた
何冊か絵本を読んだ後に、ふとバーミントさんは何を読んでいるのだろうと気になった
バーミントさんが本を読む席へと近づきいつものように話しかける
「バーミントさん、只今よろしいでしょうか」
「あぁ大丈夫だ。今日はそんなに硬くなる必要はない。」
バーミントさんは本へと向けていた顔を私の方へと向けて言う
「はい、」
「それで、何の用だ」
バーミントさんはゆっくりと本を閉じて、私へとしっかりと向き直る
バーミントさんが私に注目してくれていることに心が跳ねる
「バーミントさんはどんな本を読んでいるのか気になりまして、」
私は自分の心を読まれないように少し控えめに聞く
「私か、私はまぁそうだな。自伝書を読んでいる」
バーミントさんは手元の本を見つめて呟く
「自伝書ですか、」
聞き慣れない響きに私は復唱した
「あぁそうだ。自伝とは言わば人生を記したもの。ここには様々な人たちの人生が眠っている。
この戦時下の中、いつ何時自分の命が賭してもおかしくはない。だから自分の生きた証を記して本にする。
私はそんな人たちの人生に触れるのが好きなのだ。
人の人生とは美しいものなのだと、私は深く感じる。」

1/18/2026, 2:20:18 AM

木枯らし

「吹(すい)、きのう最新話見た?」
「、、、」
「ん?吹?何その顔、聞いてんの?見た?」
「、、、えっと、誰ですか」
僕は隣の席から吹のそのセリフを聞いて、鳥肌が立つ
そして即座に2人の会話に割って入った
「吹、昨日は映画に付き合ってくれてありがとね。すごく楽しい1日になったよ」
僕はそう言って吹たちの会話を無理やりに断ち切った
「うん、全然いいよ」
吹は悲しげな表情を僕の方へと向けて返してくれる
「ちょっと、急にのろけ話やめてよぉ〜」
先程まで吹と会話をしていた梨奈(りな)は僕と吹の会話を見て言ってくる
そこでホームルームが始まるチャイムが鳴り、救われる
梨奈は同じ教室の自分の席へと戻っていく
そして吹はその彼女が席に着くまでの様子を見届けて、悲しみの表情を机へと向ける

『大丈夫?』
僕は授業中、ノートの切れ端にそう書いて隣の席の吹の机に置く
吹はそれを手にして、自身もノートの切れ端に何かを書き始めた
吹はそれを僕の机へと置く
僕はそれを手にする
『うん、大丈夫。悠希(ゆうき)くん、さっきはありがとう。助かったよ
まさか同じクラスの人にもなんて、、怖くなってきた。
こんなの申し訳ないよ。
どうしよう、これから。』

僕の幼馴染の宮本吹は特定記憶欠損症なのである
特定の物、人との記憶がなくなってしまう病気
それはまるで木に実ったものたちが吹きさわれて何もなくなってしまう木枯らしのようなもの

僕はその日休み時間のたびに吹の相手をして、他の人が話しかける暇を与えないようにし、昼休みを迎えた
吹と2人で誰もいない階段へと移動して、お昼を食べながら情報共有をした

どうやら吹は梨奈との記憶だけを忘れているだけで、他の人は全員覚えているようだった
「ちなみに、なんで忘れたかわかる?」
僕は以前の経験から何かトリガーがあって忘れたはずと推測して聞いてみる
「ごめん、それすらも覚えてない」
「それもそうかぁ。」
僕は俯き、考え込む
そして僕自身が抱く不安から悩んでもいた
そこに吹は申し訳ないようにもう一度「ごめん」と呟く
「全然、それは大丈夫だから。もうこうなってしまったらしょうがないから、これから梨奈とどう関わっていくか考えよ」
「うん、ありがと」
結局、昼休みの時間だけでは解決策は思いつかずで、学校が終わってから考えようとなった



「吹、ここで待っててね。すぐに終わらせるから」
「うん、わかった」
私はそう言って、職員室の前で悠希くんを待つ
私は一人になって不安を感じる
「ねぇ吹」
私は誰かに話しかけられ振り向く
そこには私が今日の朝、忘れてしまった梨奈という人物がいた
「えっと、今はごめんなさい。人を待っているので」
私はそう言って誤魔化すことにした
しかし、それは何の効力もない言葉だった
「ねぇ、私何かした?」
梨奈さんは少し語気が強いように感じる声を出す
私の言葉は波風を立てるようなものだったのかもと後悔する
そして梨奈さんは呟く
「私たち友達だよね」
「えっと、、ごめんなさい」
私はそう言って小走りでその場を離れることにした
梨奈さん、今はごめんなさい
「待って!吹、本当に大丈夫?
今日はずっと何か思いつめているような感じだったから、私心配なの!」
その言葉を聞いて、私は足を止める
私がなぜ梨奈さんのことを忘れてしまったのかはわからない
でも、梨奈さんはやさしい人だとわかった
私はそんな人にこんな態度をするのはダメだと思った
嘘でもいいから、やさしさにはやさしさで返してあげないといけないと思い、私は振り返る
「、、梨奈、ごめんね、、今日は、なんだか調子が悪くて、、私たち友達だから、とりあえず今日は、またね」

1/16/2026, 8:18:38 PM

美しい

「明日はいよいよ決戦だ!打倒魔王軍!、今宵は思う存分飲み食いして、明日に備えよ!」
その掛け声で始まったみなでの晩餐は静かなものだった
食器の音だけが響き渡る大食堂内
それもそのはずである
明日は遂に張り詰めていた魔王軍との対決が控えている
あちら側にもこちら側にも死者は多く出るのは確実
これが最後の晩餐
みなが死に怯えている
隊の士気がこれほど下がればよくないことは誰もがわかる
部隊長である私自身もよくないことがわかる

私はまだ半分ほど残っているワインボトルを持っている
私は立ち上がる
“パリンッ”
それを机に叩きつけた
静かな飲みの場においては目立つ音である
大食堂内の食器の音が一瞬で止んだ
みなが私に注目を集めた
そして私は半分に歪で鋭利な形となったワインボトルを掲げる
そこからは赤い液体が垂れ落ちて、私の手にも伝ってくる
「見よ!ここに命がある!命は常々迫ってきているものなのだ!それが明日であれ今日であれ、何もかわらないこと!
そして私たちは何がために闘うか!?
そうだ!大切な命を守るために闘うのだ!
私には野望がある。私はこの美しい街を愛おしく思う。なので!その美しい街を守り、その街で永遠に生きることがこの私、アンガス•バーミントの野望である。
大切な命がある者はそれを守るために、そしてそれがないものは、私の野望のために闘ってくれ!」
「「「おぉーー!!」」」

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