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8/6/2024, 6:24:28 AM

『鐘の音』

二軒先のSさんは、子供の頃からたびたび見る夢があると言う。

なんでも、何かから逃げ続け、隠れ続け、最後には断崖絶壁から飛び降りるのだとか。
掌に何かを握りしめて。

そしてその瞬間、どこからか鐘の音が鳴り響くそうな。

「何度見てもさっぱり訳が分からない」とSさんは笑う。

ふと思いついてスマホを取り出し、動画サイトを検索して、とある鐘の音を聴かせてみると、Sさんはたいそう驚いた顔をしていた。

私がそれに気づいたのは、ある島の伝説を知っていたからだ。
でも、そのことはSさんには話さなかった。
これからもずっと、ただの「訳の分からない夢」であればいいと思う。

じっと耐えても、息を潜めて祈り続けても、彼らの神は遠かったのか。

Sさんは、これからもアンジェラスの鐘の音を夢の中で聴くのだろうか。

8/4/2024, 2:39:48 PM

『つまらないことでも』

どんなにつまらないことでも、毎日書き続けることが大事。
そう分かっているのに、ちょっと気を抜くとこれだ。

どれくらい気を抜いていたかというと、熱中症になって点滴打たれて帰ってきたくらいの気の抜け方。

うん、命とり。
みんなも気を付けて。

その間、いくつのお題が流れていったことだろう。

またポチポチ文字を打とう。

ところで、今年は10月になってもまで暑いって本当?

7/30/2024, 12:43:43 AM

『神様が舞い降りてきて、こう言った。』

「この世界の設定温度を35℃にした。上下10℃程度は誤差の範囲内とする。随時引き上げも検討している。生き残りたければ、順応するがよい」

7/24/2024, 7:16:12 AM

『花咲いて』

二軒先のSさんは、毎週花屋で五百円くらいのミニブーケを買ってくる。
聞けば、玄関に飾っているそうな。
お手頃価格だし、週替りで気分も切り替えられる。良い習慣だと思う。

庭には、品種改良された小さなヒマワリとオシロイバナも咲いている。
そちらの方は手がかからないので、伸びるに任せて自由に生えさせているのだとか。

……それはやめたほうがいいのにな。

オシロイバナは、花が終わったらさっさと抜くことをオススメしたい。
Sさんは、恐らくオシロイバナの根を見たことがないのだろう。

驚くほど地中深くに伸びる、大きくてボコボコしたあのグロテスクな根を。

もしもタイムマシンがあったなら、あんなに茂る前に戻って引っこ抜くこともできるだろうけど。

仕事帰りに話しかけられ、挨拶を返しながら横目でSさんの庭を見る。
少なくとも5年以上は経っているな。

可愛らしく花咲くその下で、どこまで根が蔓延っていることだろう。
ちょっと想像してゾッとした。

7/20/2024, 4:38:11 AM

『視線の先には』

君は今、逃げている。
息を切らして、走って走って、時折り足がもつれて転びそうになるのを、なんとか立て直して、逃げている。

ひとけのない街のなか。
広い道路も、大きなビルも、時間を止めたかのようにシンとしている。
不思議なほど、誰もいない。

とうとう君は転んでしまった。
もう何時間も走り続けていたのだから仕方がない。
体力も限界だろう。
気力はなんとか持ちこたえているだろうか。

激しく肩で息をして、ゼイゼイと喉を鳴らし、ゆっくりと君は振り返る。

大きく見開かれる目。
信じられないモノを見たような表情。

わかるよ、わかる。
君の夢の中に入り込めるヤツがいるなんて思ってなかったよね。
だから好き勝手やってきたんだものね。

さあ、とくと見てくれたまえ!
君の視線の先にいる僕が、どんな姿をしているのかを。

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