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11/17/2025, 1:52:47 AM

【君を照らす月】

雲間から降り注ぐ白い光が君の頬を照らす。
陶器のような滑らかな肌は、けれど命の色はなく。
たた人形のような美しさを保ったまま横たわる。
こんなふうに君の顔を見るのはいつ以来だろう。
見たくないことに目を背けて、認めたくないことに目を閉じて、君を振り返ることなど一度もなかった。
もしもこれが今までの罪だとしたら、これ以上の重い罰はないだろう。涙さえも許されず、悲しむことも許されず、罪は永遠に赦されない、罰に終わりなどなく、きっと私はこれを抱えて生きていくのだろう。
………それくらいに君は美しかった。

たとえ君を照らす月が隠れようと、私の罪は隠すことはできず、眼裏に焼きついた君が消えることはない。
美しき氷の花。触れれば瞬く間に溶けてしまうのならば、私はいったいどうすればよかったのか…。
その答えさえ、もう返ってくることはない。

11/5/2025, 12:11:32 AM

【キンモクセイ】

いつの間にか香ってくるキンモクセイ。
きみと歩いた遊歩道を思い出す。

今、きみは幸せだろうか?
今、きみは望んだ道を歩いているだろうか?

語った夢は多く、笑い合うことも多かった。
もちろん喧嘩もしたし、口を聞かないこともあった。
それでもきみを想わない日は1日もなくて、
この香りを嗅ぐといつもきみを思い出す。

だから僕はいつも君に問いかけるんだ。
「ねぇ、きみは僕といて幸せかい?」
きみはただ黄金色の花の下、綺麗に笑ってみせる。

11/2/2025, 4:16:08 AM

【凍える朝】

凍える朝にあなたが来る。

指先も、足先も、体の芯から凍りつき、
身動きもできず、目を閉じた暗闇の中で、
あなたの温かさだけは不思議とわかった。

さあ、その手でわたしに触れて。
あなたの熱でこの氷を溶かして欲しい。

頬を滑り、唇をかすめ、目元に触れる。
薬指を手に取り、手のひらを握りしめ、
包み込むように私のすべてを温めて。

そうすれば私の目はゆっくりと開き、
溶けた氷の雫を瞳に溜めながら、
きっとあなたを見上げるでしょう。

10/30/2025, 11:58:46 PM

【そして、】

そして、誰もいなくなった…。
―――とは、なんの言葉だっただろうか?

僕はからは君が、私からはあなたから、
私からは君が、あなたからは私が、
毎日毎日、誰かから誰かがいなくなる。

だけど、それと同時に、
どこかでだれかとだれかが出会ってる。

世界とは不思議なものだ。君を亡くした私も、
いつかはきっと君とは違う誰かに出会うのだろう。

10/26/2025, 9:44:48 AM

【揺れる羽根】

ひらひらと揺れる片翼の黒い羽根。
鋭い眼光と冷めた表情が美しくて、
あれが欲しい、と心から思った。

「なあ、俺たちのところにこないか?
 お前ならいつでも歓迎するぜ」

会うたびに、話すたびに、誘いをかけ、
そのたびに素気なく冷たく断られ、
それでもまだ欲しくなるこの衝動は、
もはや恋なのか、執着なのか――。

ただわかっていることはひとつ、
「彼(あれ)が欲しい」ということだけ…。

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