澄んだ瞳
眼鏡を新調した。それまでの銀縁から、黒縁の、ちょっと大きな眼鏡。気分転換で今までとは違うタイプを、と店員さんと話していた。
視力測定している時、店員さんが、
きれいな目ですね、と言ってきた。
僕は何と返していいかわからず、とりあえず、
ありがとうございます、と返した。
向こうからすれば、いつもの営業トークなのだろうが、目がきれい、と褒められたことがなかったので気恥ずかしさを感じつつ、内心では少し戸惑っていた。
縁の厚いタイプを選んだ理由。気分転換で、と言ったが、本当は、少しでも自分の顔を隠したいと思っていたからだ。弱々しい光の瞳を少しでも隠そうと。無駄なことだけどね。
結局、相手の反応が気になって、こちらも相手の目を見るから。目を隠すことなんてできないから。
もし店員さんの言う通り、本当に僕の目がきれいだったらどうしよう。
秘めた想いが遮ることなく、全て瞳に映ってしまったら。
あの人に丸わかりになってしまう。
想ってはいけないのに……。
嵐が来ようとも
最近あまり聞かないが、台風銀座という言葉があった。その名の通り、台風がよく通る地域のことだ。沖縄、九州、四国、近畿あたりかな。僕の住む東北は、それらの地域に比べたらそれほどの数では無いが、来たらきたでやっぱり大変だ。
なあ、来週、台風来るんだってさ。
らしいですね。さっきじいさんのラジオで言ってましたよ。先輩、そもそも台風ってなんですか。
俺も詳しくはわからんが、とてつもなくヤバい風が吹くらしい。
風ですか。でも風なら先週も吹きましたけど。
いや、あんなもんじゃないらしい。前に台風が来た時は、うちらの3割り近く落ちたらしいぞ。
マジっすか。ヤバいっすね。
ああ。けどよ、逆に言えば7割は残ったんだ。もしほんとにそんな嵐が来てもよ、俺とお前は絶対に7割の方に入ろうぜ。
せ、先輩。自分、どこまでも先輩についていきます。
おう、約束だぜ。
1週間後。
せ、先輩。も、もう自分、無理です。耐えられないっす。
ば、馬鹿野郎。も、もう少し、あと2時間もすれば台風は通り過ぎる。なんとか踏ん張れ。
わかってるけど、でも、でも、もう。
あ、諦めるな。最後まで一緒だと言っただろう。
す、すいません先輩。お先に失礼します。
後輩くんは力尽きて落ちていった。
落ちたりんご(桃でもいいです)はそのままでは商品にならないので、ジュースや、ジャムになります。それでも商品になるならいいじゃん、という人もいるけど、生産者さんはやっぱり最後まできれいなりんご(桃でもいいです)を作りたいですよね。
直売所に行くと、贈答用の特級品と、一般のやつと、わけあり物がある。
贈答用は一目瞭然。大きくてピッカピカ。食べてみたいなぁ。
僕は勿論、わけあり物(後輩くんもここにいるかも)専門だけど、味は全く問題ない。毎年車で行って5箱ぐらい買ってます。
東北のりんご(桃でもいいです)は、嵐にも負けずに、毎年食卓を彩ってくれます。旅でお立ち寄りの際は、ぜひ御賞味ください。
補足。
(桃でもいいです)というのは、りんご>桃、という意味ではないです。時期的に桃はもうそろそろ終わりなので。次の楽しみは、秋〜冬のりんご、ということで、りんごの方をメインにしたという次第です。誤解なきようお願いします。
お祭り
小さな子どもの頃から、近所の祭りには友だち数人で行くが、結局帰りはいつもふたりになる。同い年の隣家の女の子。いつも通り、金魚掬いで取った金魚を1匹ぶら下げて、帰り道を歩く。
なんでいつもお前ばっかり。俺は一匹も取れなかった。
なんでかわかる?
なんで?
わたしが美人だから。
なんだそりゃ。
知らないの? ふふっと、彼女は得意げに笑った。
金魚すくいのポイって、厚いのと薄いのがあるんだよ。あのおじさん、いつも厚いのわたしにくれるの。美女だから。あんたにはいつも薄いやつ。
ホントかよ。なんだよあのオヤジ。詐欺じゃねえか。金返せよ。もう絶対やらない。
まあまあ。 笑いながらなだめられた。
それにしても、なんで毎回一匹だけなんだよ。ほんとはもっと取れただろ。
だって増えすぎても困るから。家の水槽、もう結構な数いるから。
じゃあそいつ、そこの川に流してやるか。
駄目。
なんで。
駄目なんだって。すぐに死んじゃうって。生き物には、きちんと責任持ちなさいってお父さんが言ってた。
ふうん。じゃあそもそも、金魚掬い、やんなきゃいいだろ。
うん。そうだね。そうなんだけど。 彼女がぶら下げたビニール袋を寂しそうに見た。
この子よりもね、うちの子たちのほうが、キラキラしてるんだよ。見たことあるでしょ。
そうだっけ。
そうだよ。明日来て見てみてよ。わかるから。
それが?
うん。だからね、いつもね、あのおじさんの屋台の金魚見るとすぐにわかるんだ。あんまりきれいな色してないって。あんまりいい扱いされてないって。
所詮、安い商品ってことか。
たぶんね。しょうがないよね、それは。だからね、せめて一匹だけでもうちで育ててあげようかなと思って。いっぱいは無理だから。
そっか。 そこからしばらく無言で歩いた。
よし、じゃあ俺が飼ってやるよ。
え?
むかし、メダカ飼ってた水槽あるから。
でも。大丈夫?ちゃんとお世話できるの?
大丈夫だって。お前でもできるんだから。
うん。でも、なんで?
決まってるだろ。お前のポイであのオヤジの金魚、全部取ってやるんだよ。あいつ、お前には油断してるからな。そうなったらあいつ、破産だな、破産。戦略的な俺の仕返し。
ハハッと声を出して彼女が笑った。
でも取ったらちゃんと飼わなきゃな。責任だよな。
うん、うん、と彼女は楽しそうに笑った。
神様が舞い降りてきて、こう言った
神様が舞い降りてきて、こう言った。
継続は力なり。全く思いつかないお題でも、なんでもいいから書きなさい。
最近、全く良いのが思いつかない。ダラダラと駄文が続く日々。もうやめようかな、と思っていたところ、神様が舞い降りてきて、こうおっしゃったので、もう少しだけ頑張ってみようと思います。
僕は毎年、決まった神社に初詣に行きます。今年は思い切って賽銭箱にお札を入れてきました。お札ですよ、お札。ええ、もちろん野口さんですけど。でも人生初のお札賽銭だったので、きっと神様もびっくりしたと思います。
そのおかげ、かどうかはわかりませんが、今年このアプリを見つけて始めてみました。なかなか思ったようには書けず、悩むことのほうが多いですが、今日まで続けてみて、去年までとは少し自分が変わってきたかな、とも感じてます。少しだけね。
今日は何も思いつかない、完全に逃げの文になってしまった。
また明日から頑張ろう。暑い中、日本代表もパリで頑張ってることだし。僕も頑張ってパワーアップして、来年は渋沢さん、はあれだけど、せめて津田さんを手に初詣できたらいいなと思います。
頑張れ日本。頑張れ僕。
誰かのためになるならば
全国各地に建立されている巨大な観音像。ほとんどが、その土地の大金持ちが作ったわけだが、その当代の死後、管理できずに廃墟になってしまうことも多いらしい。あれだけ巨大なだけに、取り壊しも一苦労だ。
無垢な善意と自己満足の遺物。僕はそういうものだと思っている。
漠然と、誰かのために、不特定多数の人々の心の安寧になれば、という動機で建てたのだろう。
でも何億何十億も使うなら、もっと具体的なことに使ったほうが、人のためになったのでは、とも思う。会社を作って雇用を増やす、とかさ。
だから、どちらかといえば僕はあんなにでかい観音様よりも、円空の仏像のほうが好きだ。
円空は全国を巡り、苦しむ人の救済のために仏像を彫り続けた。生涯12万もの仏像を彫ったと言われている。
12万だよ。こんな数、絶対に偽善の心じゃ無理だよね。本当に心から相手のことを思ってじゃなきゃ無理だよね。円空仏のやさしい微笑みを見ると、本当にそう思います。
だから、誰かのため、なんてのはそんなに好きじゃない。ちゃんと具体的な相手、その人のために、っていうほうが絶対にいい。
だから金持ちの皆さん、慈善的な活動をする場合は、誰かのため、なんてふんわりした相手じゃなく、その対象を具体的にしてください。〇〇という病気で苦しんでる人、とか〇〇の災害にあった人、とか。そのほうが必ず世の中に幸せが増えますよ。
ええっと。
巨大観音だ、12万体の仏像だ、と規模の大きな話をしたあとなので言いにくいのですが。
実は僕、ちょっとずつ募金しています。キャッシュレス決済が増えましたが、現金でお釣りがでたときは、ちょっとだけどチャリン、と入れてます。でも……。
おい、日テレ。お前のところにはもう絶対に入れないからな。
なんなんだ、愛は地球を救うのかって。ふざけてんのか。
今までの募金、返せ。ドラえもん募金に入れるから。