・水たまりに映る空
ツイッターから着想を得た。
その人は、しろ◯んむぎゅうをする垢なのだが、窓から空を見るのが好きらしい。最近近場でクソデカタワマンが建設されそうで泣きそうだった。
その人が言うには、いずれは狭く切り取られてしまう空だからこそ、しろ◯んと一緒に目に焼き付けていたい。
景色が変わりゆくのは仕方ない。だから、今の豊かな空を少しでも見ていたい。
そのポストを見た時、お題とリンクした。
水たまりの浮かぶ空。これは、かわいそうな空だ。
アスファルトによって削られ、僅かしか映らない。それで、地上の構造物で大半は遮られている。視点によりけりだが、大半の視点はつまらないものを映している。近づけば近づくだけ都会は微妙なものしか映し出さない。
そして、水たまりとは儚い鏡である。蒸発皿を炙るように、日常の常識という熱で徐々に輪郭から失い、中心はしぶとく残って、やがて地面と馴染んでしまう。
先ほどのポストは続きがある。
クソデカタワマンは、ギリギリ景観に問題ないかなー、位の高さで階数が止まってくれたらしい。涙は止まっただろうか。しろ◯んむぎゅうはやすらぎを恵んでくれる。
・さぁ行こう
書いたような気がするので過去を調べてみた。
類題の「さぁ冒険だ」だった。
同じような意味で、こちらのほうが広範だ。どうしようか。一旦保留と右上の「OK」を押し、短い広告が流れる。すると、今まで見たことがないものが流れてきた。部屋の間取りの形を自動で調べてくれるアプリの宣伝だった。間取りの形をなぞるように、床と壁の隅にスマホを向け、焦点を当てる。それで、直線に次の隅に行く。1.25mという表示。直角に曲がって次の隅へ。3.67m。次の隅へ。
そうやってカクカクと進んでいき、リビングを一筆書きした。ピカッと演出があって、リビングの空間が浮かび上がった。今見ると小学生の面積を求める複雑な平面図形だった。一瞬で面積が出てきた。あなたの住んでいる間取りは〇〇平方メートルです。
外国産アプリなので、実際できるかどうかは不明だが、技術的にはできるんじゃないかと思う。こうやってスマホをかざして今目の前にあるものの面積、体積はどのくらいかなーって。ものの輪郭をなぞるだけで分かるのはゲーム感覚で良い。
スマホ側から計算したがっているみたいで、ウズウズしている。さぁ行こう。物は幾らでもあるぞ。飽きるまでやろう。
恋か、愛か、それとも。
Twitterに住んでるクリエイターの話。
二次元のオリキャラの絵を描いてる人なのだが、オリキャラ絵と言っても人の形でなく、ゆるキャラ系の、擬人化した絵を描いている。つくも神風の道具に魂が乗り移る系だ。顔はデフォルメテイストにありがちな、黒い粒目に小文字のオーム。「ω」である。
道具に魂を宿すことは難しい。最近はAI絵師が絵師と名乗る者も割といるようだが、この人はそんな小細工、必要ないだろう。
かまぼこたん。ホットケーキたん。大根のヘタたん。
かまぼこたんは半月状に切られ、桃色に縁取られている。ホットケーキたんは、四角く切られたバターを乗せ、ハチミツを垂らされている。大根のヘタたんは、多少緑のヘタがリーゼント気味になっているが、白い身体であるダイコン部分を軽くつぶして、違和感を無かったことにしている。
絵師が中心であるが、時々暇になるらしい。
一日中、紙粘土をこねていたらしい。赤白緑など、色付き粘土を組み合わせ、オリキャラの実物立ち姿をSNSに投稿していた。それが精巧に作られていて感嘆の「いいね」を押してしまう。
先ほど紹介した3人?のオリキャラたちも紙粘土で作られていた。元絵と実物再現された紙粘土の比較があげられた。左は元絵、右は紙粘土。平面から立体への進化。瓜二つ。そっくりだった。
最近はグッズ化も挑戦しているらしい。
オリキャラの一つである金魚鉢たんも、何とかして平面から立体にさせようとクラウドファンディングをして寄付を募っている。紙粘土では飽き足らず、クッションにするらしい。鉢を透明なプラスチックケースにして、クッションケースとして出し入れする形。
アイデアがクリエイターだ。
鉢の形は、つぼ型で、口は人間の首のようにくびれているタイプだ。鉢の中には淡水と、揺らめく水草と、デフォルメされた赤い金魚が一匹いて、泳いでいる。
ふわぁ……と金魚があくびをすると、金魚鉢たんもあくびする。移るんだ! と金魚が快活に言葉を投げかけ、鉢はにっこり。鉢の性格はルンバに乗って降りられなくなったり、ずっこけて中の水を零して泣いたりなどおっちょこちょい。でも、泣いた涙で中の水が補充されるという、目がどこについてるのか考えたくなる。
つまり、かわいいということだ!
約束だよ。
理科室に入ると、アルコール薬品とマッチの消えた残り香が溶け込む雰囲気に囚われる。
整然と仕舞われた試験管、ビーカー。カシミール地方のように厳重に施錠された化学薬品棚。上下に移動する黒板。机、椅子、白い布で隠された顕微鏡。使ったことがある水道と、使ったことがない水道。ほこり臭い、カビ臭いにおい。
あそこだけ、教室とは違う世界観で動いているような。
一歩入る行為、それが誓願に似た何かを意味する。
授業だからという約束の元、縄張りに入ることを維持的に許可されているようで、本当は隠し階段のような目線で主は監視しているような。そんな不穏な気がするのだ。
傘の中の秘密。
傘の柄と言えば、外側の布地を想定するが、別に裏地にデザインがあってもよいのだ。
外側と内側。同じ色、同じ布地、同じデザイン。
揃える必要のない遊び心が、日常を彩る。
そういうアイデアから商品が作られたのか、そういう傘を見たことがある。
傘を開けば自分好みの世界。見た目はただの紺の傘だが、裏地にはいっぱい推しのキャラがプリントされている。
傘を開けば、推しに会える。そういう風に、身近に寄り添う商品を思いつけるといいなって思う。
雨上がりの匂いのことを「ゲオスミン」と呼ぶ。
自然的由来の地面から空気中に発散される匂いのことで、地上のエッセンスとか言ったりする。
ただ、雨季になると、このゲオスミンは、どうやら蚊を引き寄せるようで、夏前に向けてこの匂いに寄せられ、卵を産み付けようとするらしい。
それはちょっと嫌だなぁ。
僕的に混同しやすいのが、ペトリコールと呼ばれる奴だ。毎回ゲオスミンなのかペトリコールなのか迷ってしまう。「ペトリコール」とは、雨の降り始めに感じる石のエッセンスのこと。
どうしてこれらの単語を覚えているのかって言われると、そういえばどうしてなんだろう。忘れてしまった。
雨季といえばの6月なんだろうけど、ここ数年の梅雨は空梅雨の記憶しかなく、ちゃんと降るんだろうかって思ったりする。
雨上がりよりも、降り始めに気を付けようとする目線。職場ではそろそろそろりと冷房をつけ始め、お腹が冷えてしまってお腹炒めになった2025/06/02。