22時17分

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12/2/2024, 9:56:28 AM

距離をゼロにする魔法効果のあるネット社会。
とある小説投稿サイトを利用しているわけなのだが、そこでは閲覧数は見えない仕組みを取っている。

最近、インプレッション数とか、閲覧数とか。
そういった意味のない数字に夢中になっているネズミが多いと聴く。
僕もそのネズミになりかけて精神が不安定になったので、「もう一人にしてくれ」と、閲覧数が非表示なサイトに引っ越して、淡水湖みたいな海辺でゆったりとしている。

……はずだった。

最近、というよりか数年前からか。
今どきの小中学生は、デジタル教科書に切り替わったことで、学タブというものを持ち始めた。
知らない人がいるかも知れないから書くけど、学生用タブレットのことである。
僕もよくは知らないが、たぶんデジタルだからアプリみたいに教科書を切り替えることができるのだろう。まさに「指一本で自由に」というやつだ。

だからだろうか、学タブの操作者にもそれが表れる感じになってきた。粗暴というか、遠慮を知らないというか。
学タブの略称が学生用タブレットなのか、学校用タブレットなのか、よくわからないが、ほとんど混同してミキサーにでもかけられたように、目的意識が凝固化せずに溶解してしまっている。

いつしか普通のネットの海に航海を始め、学タブは無料体験の境界線を越えて沖合にまで勢力を拡大中。
わりと海賊みたいな船乗り気取り。
無人島暮らしでゆっくりしていた僕目線では「目障り」だと思えてしまうくらいだ。
有名マンガのように、何を勘違いしたのか、世界一周することが夢であると豪語している。

国としては野放しとなっており、無法地帯や野放図になりつつある。
小説投稿サイトを「SNS」と言い始め、チャットサイトのように使い始めて僕は目を覆いたくなる。
バカとハサミは使いようというが、バカはハサミというものを知らない。指一本で二次元を操作できるからだ。

彼らに小説などというものは書けない。
読書感想文もまともに書けず、ト書きレベルを小説という始末。
本当に少子化なのか? と、疑問になる。

単純化思考になってしまうところだった。
ネットの海は広大で、距離感がつかめない。
きっとネットの海で暴れている学生たちは一部なのだと思いたい。
SNSで時間を溶かしている連中も、大人の層からいえば、3%位しかコメントしないらしい。あとの97%は読み専なのである。
だって、仕事で1日の1/3を持ってかれ、睡眠時間で1/3を持ってかれ、あとの時間はプライオリティなプライベートなやり取り。僕はYouTubeの動画を見てたらあっという間に就寝時間。
SNSでバトルをするような、時間を捨てることはしない。

まずは音から汚染されるのだ。
今見ているネット上の光景も、音から。
名残惜しそうに耳栓をし、あるいはワイヤレスイヤホンをして、シャットダウン。

12/1/2024, 9:48:11 AM

泣かないで、下唇をぐっと噛み締めて、ずっと作り笑いをしている40歳になる人間。

数え年で40歳を「不惑」と呼ぶ。
2500年前の中国の思想家である孔子が、晩年に述べた言葉に由来する。

孔子は、15歳で学問を志し、30でその道で独り立ちし、40歳で進む道に迷いがなくなったとされている。

そんなこと、この複雑怪奇な現代であり得るのかと思うと、そんなわけがないと思えてしまう。
40の倍、80歳になったとしても、迷いっぱなしの人生なのではないか。

悲嘆の壁の前。
脳内に聳える硬く高い壁の前。
その前でウロウロと行ったり来たりをしている毎日。
角度により、この壁の色が変わる。
ある時は清廉を与える白、ある時は影の色。
陽の光で褪せた色。くたびれた色。

その様々な色合いに、これでも良いのだと思ったりする。
壁に向き合い、または逃げ。
自分の生き方の指針として、この壁の周りを蛇行運転することにしている。
人生は結果ではない。
この色が好きだ、という単純なものじゃない。

11/30/2024, 8:54:33 AM

冬のはじまりは、秋が終わる頃、ではないのだ。
実は秋と冬は重なり合っているようで、冬の前半が秋、冬の後半を冬と現代の日本人は呼ぶようにしている。

それは平成時代でもそうだったと思いたい。
今はSNSと気象庁の猛烈な予告によって、急に夏が終わり、急に秋が終わり、そして急に冬が終わり……1年通してみると夏の間延びした暑さしか印象にないようになる。

秋なのか冬なのか分からない。
夜は冬のはじまりとなっている。
寒さは夜から到来するのだろう。

11/29/2024, 9:57:03 AM

終わらせないで
(あとで書く)

11/28/2024, 9:55:26 AM

愛情の数値を、紙に書いて提出する学校があった。

導入された経緯などは、生徒たちにはよく分からないのだが、体温を確認するみたいなものだろう。
ちなみに隣の欄は「今日の体温」だ。
その人は女の子だったので、丸くかわいい字で数字を書いていく。

体温 36.4
愛情 36.4

親から示された愛情を、このように100分率で書いていく。36.4%受けてきた、という意味だ。
子どもの立場を鑑みると、愛情とは与えられる側だから、このような記述となるだろう。
体温と同じ結果になる。
風邪を引いて体温が上がると、いつもよりやさしくなる。大丈夫? 苦しくない? と親は子をわが子のように心配し、甲斐甲斐しく接する。
しかし、風邪が治ると愛情の数値が目減りする。
不機嫌になり、意見の相違があるとケンカをするようになる。

「先生、愛情って何ですか?」
まるで、勉強をする意味を他人に問うように、担任の先生に尋ねた。そうすれば、いつものように教えてくれる。そうだと思い込んだ。
しかし、今日ばかりか今月の担任は、げんなりとした顔つきである。美術の時間で習った言葉。グロッキー。
「入院すれば、分かるようになる」
「入院しないと分からないってことですか?」
子どもの質問を無視して、
「ああ……、今すぐにでも入院したい」と独り言。
「そしたら、金を稼がなくても親がお金をくれるようになる。もう残業したくない」

先生は頬杖をついた姿勢から、自分の顔をサンドイッチの具材のようにした。横方向からぐちゃっとした濡れた唇が縦に開いた。その中から覗いた前歯が汚い。そしてヤニ臭い。

こんな大人にはなりたくないなあ。
目が悪く、教室の最前列……。
くじ運も悪く、教壇の目の前が定位置である生徒はしばし心のなかで毒づく。
そして嘘だらけの紙切れに向き直った。
「もう辞めたい……」
「うるさいです先生」

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