22時17分

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11/11/2024, 9:56:15 AM

ススキ箒というものがあったなあ、と思いました。
小学二年だか三年だか。校庭の落ち葉を掃いてこいというミッション。

細かいところは忘れました。
多分、班ごとで組んでおり、教室、廊下、階段などと掃除場所が1週間ごとにローテーションされていた気がします。
で、秋の、落ち葉がてんてこ舞いとなってくると、期間限定みたいな感じで、「校庭」が出てきます。

校庭を囲むように、落ち葉がみっちりと降り積もっていましたから、担当がそこになると腕が鳴るというものです。
なかばボランティアみたいな感じで、班ごとに行動する数人が、わー、と秋の校庭に駆け出していました。
箒やちりとりなどは、校庭の隅にある、多分普段は学校の清掃員の人が使っているんだか、そうでないんだか分からないようなオンボロの掃除入れを使っていました。

その中に入っているのが、室内用のほうきと二本の大きなススキ箒でした。
基本的に、子どもの身体では小さいので、教室の室内用の箒のほうが使いやすいわけです。
室内用なので、箒の形をしてません。
モップみたいなT字の形をしたもので、掃くところの厚さは5センチもない。つまり軽め。
柄の長さが首の高さより下となるので、しゅんしゅんぶんぶんと振りながら、教室の綿埃と格闘できるわけです。

しかし、如何せん校庭での掃除となると、わけが違ってきます。校庭にはじゃりや砂が敷かれているため、お外の場合、ススキ箒のほうが良いような気分になってくるようです。

ススキ箒は、基本的に大人用のために作られた格好なので、小学生の身分ではちと難があります。
柄の長さが頭より上の2メートル以上(測ってないので不明)となっていますから、掃こうとしてもダイコンのような大筆ですから、よいしょ、よいしょと身体を揺らしてやらねばならないという……。

そんな使いづらいことで有名なススキ箒ですが、落ち葉掃きのときだけは大人気となります。
じゃり、じゃり、という特有の地面を削る音が鳴ってなんか楽しいわけです。

本数も二本と、五〜六人で構成された班では「選ばれし者」よ感が溢れます。
ススキのボリュームも贅沢な感じなので、早速じゃんけんとなってきます。
僕は負けたのでちりとり係です。

ほうぼうに散った班の人たち。
ちりとり係の僕は、校庭のどこかを行ったり来たり。
落ち葉の山が降り積もっていますから、えんやこら、どっこいしょ、がさあ……とゴミ袋に入れ、スペースを空けるために足を入れて押し込む感じが懐かしいです。

11/10/2024, 9:40:19 AM

脳裏に灯るキャンドルライト。
いつまでも燃え続けていたら燃料がもったいないから、ふいと息で吹き消した。

オレンジ色の火の光は、世界のどこにもいなくなった。
あるのは、不機嫌そうな灰色の煙。
脳内物質のなかで漂っていた。
いつの間に、こんなに充満していたというのか。

脳のどこかにあるというWindowに手をかけて、換気をしようと試みる。
ただ、その窓ガラスは透明感とは真反対にある属性をしていて、クレセント錠は固まったように動かない。
力をいくらかけても微動として動こうとしない。
長年の不登校児が引きこもりになって、草むしりをするような姿勢……。

そうか。そうだったんだ、と気づいた。
気づいた途端、諦めたくないと思えた。
ここに、ホコリと黒い黴が棲んでいるのだ。
この錠は、まだまだ硬くなる。その前に……。
何かを噛ませて、力を込めた。
テコの原理、テコの原理……
キリキリと少しずつ隙間を砕いてカタツムリは進んでいく。
もうちょっとだ、頑張れ。
窓の外は雨模様。
いつまでも降る、明けの知らない梅雨。

クレセント錠は半回転してエクセレント。
窓を開けることができた。
そうしたら、脳内に立ち込める嫌な煙は、さっと逃げていく。
換気される空気の流れを眺めていて、ハッとする。
脳裏に灯るキャンドルライト。
チャッカマンはどこに仕舞ったかな?

今度は自分で見つけなきゃ。

11/9/2024, 7:15:02 AM

意味がないことを見つけていくことを退屈と呼び、意味があることを見つけることを努力と呼ぶ。

11/8/2024, 9:51:37 AM

あなたとわたし。
似ているようで、全然違う。
スマホを持って何か文字を叩き込む。
その動作は同じだけれど、その思い、その文字は全然違う。

ここで言う似ているとは、一体何だろう。
最初は人間として、と書こうとした。
けれど、そんな当たり前の答えで納得できるような人間じゃなかった。

もしかして、スマホの事を言っているのか。
スマホは、人間社会の道具として生まれたはずだ。
でも、今やネットに入り浸るためのデバイスとしての枠組みからはどうしようもなく外れていき、人工心肺装置のようになっている。
ベッドの上に眠っている人が誰であれ、人工心肺装置は空気を送り続ける存在。
生きていても死んでいても。
役割は変わらない。
死んだら外すだろう。でもそれは、口に装着していても意味がないから外すのだ。それは誰が決めている? 第三者、医者だ。患者自身は、自身の身体の裁量権を失って、他人に委託・譲渡している。

スマホの場合、何を送り続けている?
スマホをやめる権利は、誰に握られている?
わたしとあなた。
少なくとも、わたしのほうがわたし。

11/7/2024, 9:58:41 AM

柔らかい雨のように、きめ細かい粒で構成されている。
避けることはできなかった。
自身の身体を縮こませるように、両腕でガードをした。
浮遊する水蒸気の塊。――襲ってくる!


霧隠れの中に閉ざされていた。
マイナスイオンのイメージ。
しかし、癒されてはならない。
相手からの水属性の攻撃であると認識しなければならない。
粒が細かすぎて、目視では見えないけれど、数メートルより先は見えない。


死闘の最中とも言えた。
相手の姿は見えないが「力を見極めてやる」というように、不意打ちに近い先制攻撃を仕掛けてきた。
肌を剥き出しにしていたら、あっという間にずぶ濡れになっていただろう。
その頃には、もう術中に嵌まっている。
勇者の子孫はカミナリ攻撃を主力としていた。
だが、その攻撃は封じられているといえよう。
術者の全身が濡れているときにカミナリ呪文を唱えたら、感電する。

仕方がないな……
勇者の子孫は滝のような汗の顔を拭った。
汗などかいていない。
霧の塊が纏わりすぎていて、水の膜が張られているようだった。呼吸が制限されている。苦しい。舌打ち。

湖の主に会いに行って、ブルーオーブを貰い受ける。
しかし、できるだろうか。一人で。
やれる。
オレがやらねば、散らばった仲間は浮かばれない。
生き残ってやる。

目の前の霧に影ができた。
人影。白い霧と黒い人影のアンバランス。
なるほど、そちらから出向いてくれるとは。
こちらとしては、手間が省けた……と、背中の大剣に手をかけ、ひゅんと素早く剣先を向けた。

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