物憂げな空
私は幸せなはずだ
愛する人と結婚して
希望に合った仕事をして
何不自由なく生活している
なのに何故だろう
たまに全てを捨ててしまいたいと思う
ふと窓からみえた物憂げな空が
今日の私みたいだ
鬱々とした気持ちを手放したくて
見て見ぬふりで眠りについた
明日目が覚めたらきっと
いつもの幸せがやってくるから
小さな命
まな板の上で跳ねる魚を前に
包丁を握りしめる
この小さな命を今
手にかけようとしていた
私は死ぬのが怖い
生まれてきたことを後悔する程に
だからそのまだ生きている体に
刃を立てるのが恐ろしかった
私がこの魚を殺すんだ
刃が体に食い込んだ瞬間
どっと感情が溢れて視界がぼやけた
私は命を食べていたんだ
沢山の小さな命を
当たり前のように食べていたんだ
love you
「一度しか言わないからよく聴いて」
そう言って貴方は私の耳元で囁いた。
その言葉に私は何を感じれば良かっただろう。
貴方は私が泣いて喜ぶのを期待しただろうか。
キザな言葉だなあ
率直にそう思った。
言葉がただの言葉として私の中に落ちた。
その言葉をプレゼントみたいに思ってた、そんな歌があったことを思い出した。
微動だにしない感情に、はっきりと気付いてしまった。
過ごせば過ごすほど薄れていく。
私は貴方を愛していない。
それから貴方の縋るような瞳と目が合って、
私はただ苦い笑いを浮かべるしか出来なかった。
太陽のような
「ジニーよりお前の方が汚い!」
お風呂に入りたくなくて犬のジニーを引き合いに出した私に父は怒鳴った。
ジニーより汚いと言われたことに思いの外傷ついて、私は家を飛び出した。
家から数分の真っ暗な誰もいない駐車場のヘリに腰掛けて、父はなぜ子どもを作ったのかと思った。
愛したいから子どもを作るのではないんだ。
もっと愛してくれる人のもとへ生まれたかった。
飛躍した気持ちがまとまりもなく散らばって静寂の中に浮遊していた。
しばらくして、近づいてくる足音に気づいた。
音の方へ視線を向けると母がこちらへ向かってきていた。
母は静かに私の隣に座って、一緒に帰ろ?と言った。
「帰りたくない」
母は困ったように微笑んで、ただ優しく寄り添った。
自分がつまらないことで拗ねていることなどわかっていた。
だからこそ素直にはい帰りますとはいえなかった。
母と2人きり、夜空の下座っている時間が私の拗れた気持ちを解いていった。
立ち上がって母の手を取った。
そして元来た道を、陽気に並んで帰っていった。
どこにいくでもない
あてもなく彷徨って
私はどこにもいけないことに気づく
それがどれだけ嫌だとしても
今はそれに耐えるしかない
嘘の笑顔の裏で嫉妬に呑み込まれ
汚い言葉を吐く君の涙も
ただ隣で見守ってくれていた君の暖かさにも
気づかないままに
自分の苦しみだけが全てだった
逃げ出した場所で出会った
あなたの姿、声、雰囲気全てが
生きることへの痛みを和らげた
世界が反転してあなたを中心に回り出した