太陽のような
「ジニーよりお前の方が汚い!」
お風呂に入りたくなくて犬のジニーを引き合いに出した私に父は怒鳴った。
ジニーより汚いと言われたことに思いの外傷ついて、私は家を飛び出した。
家から数分の真っ暗な誰もいない駐車場のヘリに腰掛けて、父はなぜ子どもを作ったのかと思った。
愛したいから子どもを作るのではないんだ。
もっと愛してくれる人のもとへ生まれたかった。
飛躍した気持ちがまとまりもなく散らばって静寂の中に浮遊していた。
しばらくして、近づいてくる足音に気づいた。
音の方へ視線を向けると母がこちらへ向かってきていた。
母は静かに私の隣に座って、一緒に帰ろ?と言った。
「帰りたくない」
母は困ったように微笑んで、ただ優しく寄り添った。
自分がつまらないことで拗ねていることなどわかっていた。
だからこそ素直にはい帰りますとはいえなかった。
母と2人きり、夜空の下座っている時間が私の拗れた気持ちを解いていった。
立ち上がって母の手を取った。
そして元来た道を、陽気に並んで帰っていった。
2/22/2023, 2:41:12 PM