俺は幼馴染が時に超人に見える瞬間がある
アイツを見てる時少しのきらめきが頭を支配するんだ。
誰かに相談するとよく分からないってよく言われるがそれもまあ分かる。俺も分からない。
けどどうしても、アイツの笑顔はどっかの誰かさんとは違うんだ。
「なにボーッとしてんの。」
ぼやっとした頭を殴られるかのように声をかけられた。
「や、別に何でもねぇよ。」
今の受け答え、変じゃなかったよな。流石に。
「なんかお前今日変。」
いや、変だったか、くそ、、、
「、、、、お前笑うなよ?」
「なに?」
「俺見てるとキラキラしてんの?えー目ぶっ壊れたんじゃねウケる笑」
こーなると思った
「だからお前に言うの嫌だったんだよ。もう良いだろ。来週辺りに病院でも何でも行ってやる。」
「あっ、おい。」
「、、、なんだよ。」
「え、、、あー、、いやなんか最近距離置かれてる気がしてて、なんかちょっと、あの、うん。」
「、、、?あ。さてはお前寂しかったんだろそうだろ〜。」
「いや別にそんなんじゃねえし!? けど、、」
「けど?」
「いや、うん、まぁ。」
「ほーーん。」
「無駄に伸ばすなよなんだよ。」
「別に。」
俺だけじゃなかったって訳ね。
もう音が鈍くなってきた
唯一の目もぼやけてもう、光が見えない
せめて、せめて何かしたかった。
君の為に。 君たちの為に。
最期まで、先生として。
心の灯火が、命の光が、消える前に。
ならこの子達を囲ってしまえば、助かるんじゃないか。
せめて、この子達だけでも。
「先生、大丈夫だよね、先生、?」
怯えた目で、自分の瞳を覗き込む君が居た。
「うん、大丈夫だよ。だから、」だから。
今は、静かに眠りな。
君は瞳を手で覆って仕舞えばあっという間に深く眠りについた。
「大丈夫、大丈夫だよ。先生が守るからね。」
例え片腕が無くなろうとも。
例え片目が見えなくなろうとも。
君達に何かを失わせる方が僕としては怖かったんだ。
だから最期のわがままだよ。
「長生きするんだよ。君達は僕の自慢の生徒なんだから。」
色んな人に出会って、色んなものに触れて。
沢山の幸せを受け取って必ず誰かに看取られる事。
僕のように1人で死ぬような事にはならない事。
後悔をしないように動けるうちに動く勇気をもって動く事。 絶対に、何よりも命を優先すること。
ホントのほんとに最期の先生との約束だよ。
「馬鹿だよなぁ〜先生。」
「ホント。それ以外何も言えないくらい馬鹿。」
「でもまあ、この人はそーゆー人だから。」
「それはそーだけどさぁ、それで片付けれるくらい、簡単な人ではないよな。」
「まあね。 ほら、早く行こう。今日は噂のアイツが退院するらしいじゃん。」
「あ!!!そっか!!!昨日寝れんかったくらいなのに忘れてたなんでだろ、先生今日だ!!!」
「とりあえず消化に良さそうな煎餅持ってってやろう。」
「いやそれ絶対逆。なんなら硬いやん歯痛いやん。」
「それはそう。早く行こう。」
「ん。行こっか!」
先生は馬鹿だから、自慢の生徒である俺が教えてあげるけど、あの時俺眠りきって無かったよ。ちゃんと約束も守るよ。だから先生も、その隣にちゃんと立っててね。
指がどうしても震えてしまった
開けないLINE 充電は23% すぐ出ると思って上着を着たままの自分。
夢だと思いたかった。
君が、知らない誰かと腕を組んで君の家へ入っていくところを見てしまったあの日は、生きた心地がしなかった。
現実を信じたくないから信じない。
君を信じたいから信じる。
けれどその信じる心は、必ずしも君を肯定するまでには至らなかった。
君の実家へ、顔を出しに行ったよ。
君には「別れよう。」とだけ伝えて。
君の御家族には婚約を破棄させて欲しい。と伝えた。
理由を聞かれたから、君が嘘をつけないように写真もちゃんと見せておいた。
君は狼狽えて「ほんの気の迷いだった。許して欲しい。」なんて言ったけれど、僕がそんな事を許すような人間じゃないことくらい、分かってたはずだよね。
もう、遅いんだよ。
ふわっ
思わず振り向いてしまった。
いつの日かに出会ったあの夏に恋をした貴方の香水の香りが香ったから。
季節は違えどキンモクセイの香りが漂う貴方の隣は心地が良かった。
「その香り、いいすね。俺好きです。」
特に他意はなく発した言葉だった。
「あ!これ!? これね〜彼氏がくれたんだぁ〜!」
分かりきっていたことだった。
彼氏が居たことも、その彼氏が俺の親友だった事も。
「やっぱ、あいつセンス良いですよね。流石だ。」
これもまた本音だった。
「うんうん! いいよね、液体の香水じゃなくて練り香水だから持ち歩きも出来るし、荷物にもならないし!」
花の香りを漂わせながら華のように笑う人だった。
「女の子の事、ちゃんとわかってる感じしますよね。」
「ね〜!」
記憶にあるのはやっぱりこの会話だけで、貴方を忘れる為に付き合った彼女がつけていた香水は、少し甘ったるく季節を感じさせるような香りだった。
結局好きにはなれなくて、別れてしまったが、それでも貴方を忘れることは出来なかった。
今月末、貴方は親友のアイツと式を挙げますね。
俺はアイツの為にマイクを握って貴方とアイツの思い出を語ろうと思います。
涙が流れて来てもそれは祝福と長年の恋がようやく枯れる頃ですから、上手く流す事が出来ると思います。
どうか、幸せになってくださいね。
おめでとう。 サヨウナラ、俺の純恋。
何でもない日だった。
チャイムが鳴って。突然の君の訪問。
何となくわかっていた。きっと別れ話だろう。
案の定別れ話から始まって、結果別れることになった。
君が私物を取りに来る日が来週頃になるって聞いたから、それまでに君の私物を箱に詰めておこうと思った。
思っていたより君の物が多くて、少し寂しさを感じたけれど、2人で決めた事だ。特に後悔はない。
そんなことを考えていた時。
君に貰った手紙が、一通出てきた。
付き合って3回目の誕生日を迎えた俺にくれた手紙だった。
「君とまた誕生日を迎えられて幸せ」という事。
「来年もまたよろしくね。」との事。
あぁ俺は。君と別れたくないんだな。
あっさり承諾をしたけれど、不思議と涙は止まらなくて
別れ話なんかせずに、もう一度愛を叫べばよかった。
再びチャイムが鳴る。 ピアスを落として行ったらしい。
今度こそちゃんと伝えるよ。 今まで黙っててごめん。
「俺、君と別れたくないよ。」