まにこ

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3/15/2025, 2:32:52 AM

生まれた時から君をずっと探していた。
世界の裏側まで冒険したこともある。
それでも見つからない、君のこと。
そのうちに人としての生に終わりが見えてきた。
私は果たして君を見つけられるのだろうか。
「ずっとあなたといたよ」
耳元で語りかけられて気付く、君の存在。
嗚呼、そうだったのか。
私が生まれた時から、君は傍にいてくれたんだね。
そして私と共に朽ちていく。
何と愛おしく、そして哀しい存在なのだろうか。
「ありがとう、いつも一緒にいてくれて」
精一杯の感謝と皮肉を込める。
役割を終えた君は静かに目を閉じた。

3/13/2025, 11:51:57 PM

お前との境界線が見えない。
いつの頃からか、ぼんやりそう思うようになった。
きっかけは何でもない酒盛りのあと。
どちらからとも無く、なし崩しに始まった身体だけの関係。
お前が口にする愛とやらはそんなに軽いものだったのか。
熱に浮かされた言葉は無色透明で何の形も残らない。
このままダラダラ続けていてはお互いに駄目になってしまう。
頭の端で分かっていた答えに応じるべく、俺はお前の前から姿を消すことにした。
その後、目で見える形で否応なしにでも分からされることになるのはもっとずっと後の話。

3/13/2025, 2:20:20 AM

会うは別れの始まり。
先人が遺した言葉の重みを噛み締める。
そこに私が付け加えるならば。
別れは会うの始まり、だろうか。
ご縁とは不思議なもので、結ぼうとがむしゃらに足掻けば足掻くほど切れてしまうものもあれば、逆に切ろうとしても切ろうとしても何故か切れずに細く長く続くものだってある。
言葉は表裏一体とはよく言ったものだ。
流れに身を任せる。
自分の心に正直になる。
さすれば自然と本当に必要なものが見えてくる、はず。
何かの終わりは何かの始まり。
寒かった冬もあと少し。
春の芽吹きを目で見て耳で聴いて鼻で嗅ぐ。

3/11/2025, 11:33:22 PM

空に瞬く星たちがこちらを静かに見下ろしている。
私は今、生きているのだ。
本当ならば、あの時失っていてもおかしくなかったこの命。
私の膝の上に頭を預けてすぅすぅと眠る弟が愛おしくてならない。
どうせ一度死んだ身だ、次は何かのために生きるのだ。
少なくとも今は、今だけはこの子と共に明日も生きていく。

3/11/2025, 12:00:08 AM

皆が幸せでいられますように、そう願って神社にある石を持ち上げた。
重かったら叶わない、軽かったら叶う。
見た目に反し、存外軽いように感じた。
皆が幸せでいるということは、まず自分が幸せで満ち溢れていなければならない。
そのことに気付いたのはそれからもっとずっと後のことで。
自分に余裕が無いと他に幸せのお裾分けをすることなぞできないのだ。
自己犠牲が何故うまくいかないのか、その真実に気付けるのはもっとずっと後のこと。

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