まにこ

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9/15/2024, 9:12:28 PM

一生懸命文字を打ったのだろう、祖母のLINE。
誤字脱字は当たり前、内容にそぐわないスタンプも沢山あった。
今となってはどれも素敵な思い出の宝箱に大切に保管している。
ばあちゃん、またLINEしてきてよ。間違って電話を掛けてきても構わないから。
もう二度と更新されることのないトーク履歴を指でそっとなぞった。

9/14/2024, 9:18:29 PM

燃え尽き症候群ですね、確かに医師はそう言ったのだ。
何故だかその言葉は、私のこれまでの生き方を全て否定されているような気がする。
必死に働いた。必死に働いて働いて、目標のためだけにひた走り続けてきた。
その結果がこのザマである。
言葉通り、燃え尽きたのだ。後に残るは灰の残りカスだけ。
やる気も情熱も全てエネルギーへと変換してしまった。
ぽっかり空いたは心の隙間。
医師曰く、ひとまず休めとのことだ。
休むって?何を?どうやって?そもそも休み方が分からない。
私、頑張っていたよね。生き方、間違っていないよね。
ただ誰かに認めてほしかった。
それでも現実はモノクロに染まってゆく。
味のしないご飯、針が止まらぬ時計の音、起き上がれない自分の身体エトセトラ
命を燃やせるほど打ち込めることがあるってきっと素敵なことだ。
それでも過ぎたるは猶及ばざるが如し。
先人達は偉大な言葉を遺してくれている。
何事も程々で良い。
燃やし過ぎにご用心。

9/13/2024, 9:20:51 PM

空と海とがどこまでも混ざりあって溶け合って、白とオレンジとほんのり青色の美しいグラデーションを作る。
これはやはり自分の目で見たい、とB男は思う。
毎年元日になると初日の出を拝むという名目で、某駅に降り立つのだ。
海からぽっかり顔を出す日の出は真っ赤に萌えている。
ありがとうと今年もよろしくの気持ちを込めて、寒さに悴む手を擦りながらも合掌する。
スマホのカメラを起動させて確りと記録に残す。
おみくじよろしくその年の吉凶を占うように、毎年自分を試すのだ。
いつまでできるか分からない、恒例のこの習慣。
希望と夢に満ち溢れた年の始まりを、初日の出で祝福できる喜びをB男はそっと噛み締めた。

9/12/2024, 10:36:24 PM

空は澄み渡るように青く、雲ひとつない。
淡いピンクの花を付けた樹々もこの日を祝福してくれているようだ。
新たな門出を祝うには正に絶好の日だと言えるだろう。
あちらこちらで抱き合ったり、歓声が響いたり、学生達の盛り上がりはまるでお祭り騒ぎだ。
そんな中、人知れず咲く一輪の花。それは見事に咲き誇る美しい姿を見せたり、はたまた桜吹雪のごとく潔い散り際だったり。
「好きです」
それはベタに校庭の裏かもしれないし、がらんとした教室の中だったりするのかもしれない。
学生達は一世一代の覚悟を決めて想い人に本気をぶつけ、また受けとめる相手も真剣に想いを返す。
もしこれが叶おうが叶うまいが、後々振り返ればきっと素敵な思い出になるはずだ。
貴方のまだ何も知らない真白い人生のキャンバスに、素敵な一ページが刻まれますように

9/11/2024, 9:59:21 PM

私は壁にバツ印を付けた。
今日で十日目。
何せこうでもしないと日にちの感覚が狂ってしまいそうになるから。
真白い部屋には窓は無く、ベッド、トイレ、それとシンプルな机に一本の鉛筆。ただそれだけ。
ああ、一番大事な事が抜けていた。
ベッドから伸びる鎖は私の片足を戒めて離さない。
扉には届きそうで届かない絶妙な長さになっている。
誰が何のためにこんな真似をしたのか、今も分からないのだ。
不定期に運ばれてくる食事は今日も喉を通らない。
今の私に出来るのは寝て起きて排泄をして日にちを壁に刻むこと、ただそれだけ。
いつか解放されると信じて、その時のために自分のカレンダーを作っておかねば。
私はここで生きている証を今日も残し続ける。

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