まにこ

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私は壁にバツ印を付けた。
今日で十日目。
何せこうでもしないと日にちの感覚が狂ってしまいそうになるから。
真白い部屋には窓は無く、ベッド、トイレ、それとシンプルな机に一本の鉛筆。ただそれだけ。
ああ、一番大事な事が抜けていた。
ベッドから伸びる鎖は私の片足を戒めて離さない。
扉には届きそうで届かない絶妙な長さになっている。
誰が何のためにこんな真似をしたのか、今も分からないのだ。
不定期に運ばれてくる食事は今日も喉を通らない。
今の私に出来るのは寝て起きて排泄をして日にちを壁に刻むこと、ただそれだけ。
いつか解放されると信じて、その時のために自分のカレンダーを作っておかねば。
私はここで生きている証を今日も残し続ける。

9/11/2024, 9:59:21 PM