紅茶占いをやってみましょう!|特集|LUPICIA Tea Magazine|世界のお茶専門店 ルピシア ~紅茶・緑茶・烏龍茶・ハーブ~ https://share.google/RBLf8s6f2MoIZI0as
参考にしたサイト
☕☕
お気に入りのティーカップにとっておきの紅茶。
貴方を思いながら注いだ一杯を大事に大事に飲む。
だって今日は私にとってとても大事な日。
スマホで調べた紅茶占い。
やり方を間違えないようにスマホとにらめっこしながら一口分だけ紅茶を残す。
反時計回りに3回転。反時計回りに3回転、と口に出しながら、慎重にくるりとお気に入りのティーカップを回す。
カップをソーサーに伏せる。
ふぅ、と一息。
カップの底をトン、トンと軽く2回叩いて…3回にするかしないか悩んで…
やっぱりもう1回。
ダメ押しで、トン。
あとはカップを開けてカップの内側に残った茶葉からモチーフを探すだけ。
それだけ。
それだけなのに、カップを開けるのが少し怖い。
私がほしいモチーフあるかな…
なかったらどうしよう。
でも開けないとわからないし…!
えいやっと気持ちだけは強気に、実際の手つきはそろりそろりと開けた先。
そこには…
「赤」は「お日さま」の色。
「黄色」は「お月様」の色。
夏の緑の葉っぱが「お日さま」や「お月様」の光をいっぱいいっぱい浴びて、「赤」や「黄色」に変わるんだと信じてた。
赤や黄色の綺麗な葉っぱ。
赤いのに火みたいに熱くない綺麗な葉っぱ🍁🍁
夏の暑さから冬の寒さに変わる間だけの鮮やかな時間。
燃える葉
コウヨウとモミジ。
紅葉の花言葉には「美しい変化」や「大切な思い出」があるんだって。
勘違いも大切な思い出として残しておこうと思う。
蝉の鳴き声も止み、鈴虫の声が聞こえ始めると、あの人はふいに居なくなる。
行き先を聞いても、「ちょっとそこまでだよ」としか教えてくれない。
着いていってもいいかと尋ねると少しだけ困った顔で首を横に振るのだ。
そうされるとなんだか自分がワガママを言っているように思えて、「やっぱりなんでもない」と引き下がるのだ。
あの人が帰ってくるのはまちまちだ。
数分や数時間で帰ってくることもあれば、何日、下手したら何ヶ月も戻らない日もある。
その間、私はと言えば。
あの人の連絡を待ったり、美味しいご飯やおやつを作ったり、まぁ、色々のんびりしている。
あの人のことで不思議なことはある。
それはあの人の手土産。写真や絵、ポスカなどだ。
あの人の手土産はいつも夏の終わりの匂いがした。
梅雨上がりの青空と雨に濡れる紫陽花
蒸し暑い夜の空に咲き乱れる花
綺麗な川とその川辺を飛びまわる小さな小さな光
光の消えた屋台
消えかけの線香花火
小さな光が消えたあとの同じ場所
同じ場所、同じ時間なのに違う景色
あの人が帰ってきたらきいてみようか。
きっと答えなんて
「夏の忘れ物を探しに」
だろうけど。
こぼれたアイスクリーム
「ねー、きいてる?」
そう言って目の前に座る友だちは、今日あった小テストのこと、昨日見たドラマの話、最近読んで面白かった漫画の話、共通の友達の恋バナ、とにかく色々話してくる。
そんなに話して喉は乾かないのかな、と数分前に友達が飲み干した空のコップを見ながら思う。
「〜〜……って、あ、ドリンク入れてくるけど」
「あ、私は大丈夫だよ」
「そ、じゃあ行ってくる」
話しながら飲み物を飲もうとしたのだろう。溶けた氷の薄い残骸しかないのに気付いた友だちは立ち上がってドリンクバーに向かう。
この席からドリンクバーまでは離れているから、戻ってくるまで少し時間はあるはず。
友達の姿が見えなくなってから小さくため息を吐いた。
「つかれたぁ……」
人の話を聞くのが嫌いな訳でも、友だちが嫌いなわけでもないが、それはそれこれはこれだ。
なんでそんな思いをしてまでまだここにいるかといえば……
お待たせしました、
そんな風に誰に言うでもなく脳内で架空の誰かに話しかけてたら、店員さんが近づいてくる。
私の目の前に置かれたのは、日替わりランチについてきた食後のデザート。何種類かあるうちから選んだのは、季節のアイス。
このお店の日替わりランチについてくる季節のアイスは、定番のバニラと季節のソルベがついてくる人気のデザートだ。
季節のソルベは、聞けば味を教えてくれるが、私はあえてきかずにいたのだ。
緑なら抹茶?
でも、色は白っぽい気がする。
今日のは何かなー?楽しみだなー、とワクワクしながらスプーンを入れようとしたとき。
「ただいまー」
「あ、おかえり」
友だちが帰ってきた。
スプーンを置く。
「アイス、何味だった?」
「んー、多分桃?」
「多分ってなにさ〜。あ、さっきの続きなんだけど」
友だちの話を聞く。
人の話を聞くときに何かを食べるのが出来なかった。
日替わりランチは友だちの話の合間合間で食べた。
アイス…楽しみにしてたんだけどなぁ…
目の前には溶け始めたアイス。
話し続ける友だち。
「〜〜〜………」
バニラの隣に置かれた白っぽいアイスは味を知らないまま、こぼれた。
あぁ、暑い。
なんて思いながら今日も慣れ親しんだ道を歩いていく。
今日は手土産代わりのお裾分けのスイカを持ってきた。
すれ違う人も半袖やタンクトップなど涼し気な姿だ。
なんと言ったか、最近は手持ちの小型の扇風機や首に冷たい首輪みたいなのを着けている人が多い。
そうか、いまはもう団扇や扇子では間に合わないのか……
あの人はきっと知らないだろうから、今日の話題にしてみよう。
ちりりん…りん
「やっぱりいい音ですねぇ」
いつもの縁側が見えてきた。
そして最近あの人が吊るしてくれた小さな夏が涼しげな音で迎えてくれる。
「今日もお邪魔しますね」
一応、声は掛けるが縁側は自由に使えと言われているので申し訳程度だ。
ちりん
家主の代わりに答えてくれたかのようになる夏の音に笑みがこぼれる。
いつものように縁側に座り、通り過ぎる人を見るとはなしに見る。
聞いたことはないが、多分腐れ縁のあの人は自分が好き好んでここから人を眺めていると思っているだろう。
人間観察が好きというよりはこの縁側から見える風景なら何でもいいのだ。
「来てたのか」
「えぇ。あ、これお裾分けです」
いつの間に隣にいたのか腐れ縁であり、この縁側のある家の家主に声をかけられた。付き合いは長いが本当に静かな人だと思う。
「スイカ。ありがとな」
「いえいえ」
嬉しそうな様子にこちらも嬉しくなる。
スイカをしまいにまた奥に引っ込んだ相手を見送る。
「ラムネ切らしていたんだ」
「あなたの家の麦茶好きですよ」
戻ってきた相手に氷が入ったグラスに入れられた麦茶を渡される。
いつも出されるラムネが自分のために用意してくれてるものだと知ったのは意外にも最近だ。
「あ、そういえばここに来る前に見掛けたんですが」
腐れ縁とは言いつつお互いにあまり干渉しない性格だったから、一緒にいても居るだけだった。
こうして話すようになったのはいつからだったろう。
そんな事を考えながら先程話そうと思った事を話す。
話していたら空が夕焼けに染まってきた。
「そろそろかえりますね」
「次はラムネ買っておく。今日はこれで」
差し出されたのはラムネ味のアイス。
半袖が似合う季節にまた食べたいと思ってたモノだ。
有り難く受け取り、食べながら帰路につく。
半袖が似合う季節、ラムネ味のアイス。
あの人が炭酸が苦手だと知ってから1年が経っていた。