『ハッハーっ!!少年よ!
お前は今日から神になるのだ!!』
ビシィッ!!っと音が鳴りそうなくらいに指をさされた。
突然現れた変人に、頭の中は「?」だ。
イケメンが、なぜか宙に浮いている。
「はぁ…、あんた誰? これ夢?」
辺りをキョロキョロと見回すと、全てが停止していた。時間が止まっている。「……マジ?」
『おいっ!少年よ!お前は選ばれたのだ!!
俺と来るしか選択肢はないぞ? なにせ俺は神だからなっっ!!!』
「あー、とりあえずその大声やめてもらえます?聞こえてるんで。」
『ハッハッハっ!! そう言われてもこれが俺の普通なんだ!慣れてくれ!』
「…。」(なんか全然神っぽくない…)
『どうした?わかったか? それなら行くぞ!』
「!!? ちょい待ちーーー!!!!!
オレが神になるって? わけわかんねぇよ。あんたが神様ってのも信じらんねぇし!」
『まぁそう思っても仕方ない。だが!! 俺様が神と言ったら神なんだ!! 今の人生は諦めろ!』
「……。まぁオレは親もいねぇし、今の生活に未練もねえ。わかった。これからは生まれ変わったと思ってやるよ!連れてけ!」
『ハッハーっ!! 言われなくとも!! さぁ出発だ!!!』
人に優しくしよう。
誰かのため、 自分のため、
そんな考えはなくたっていい。
優しくされる、 その度に
自分も少し、 優しくなれる。
そんな『優しさ』ってやつは、
自然と 誰かの支えになってるんだから。
――「『Bird Cage shop ~トリカゴノユメ~』?」
見慣れない看板に思わず声が出た。
町外れに新しいお店がオープンしていた。
ここ最近、魔法使いの間で自分のお店を出すことが流行っている。妙に雰囲気があるし、なんとなくここもそうかなって思った。
入ってみる。
謎めいた香りに鼻をくすぐられ、視界に洒落たアンティークな内装が飛び込む。至るところに鳥かごが置かれており、一番奥のカウンターに店主らしき女性が座っていた。
「いらっしゃい!」
「こんにちは。素敵なお店ですね…でも鳥かごのお店なんて珍しいですね。」
「そうでしょ~。私の趣味でね、鳥かご作り。ここにあるのは全部私の作品なんだ♪」
「そうなんですね。あの、お姉さんは魔法使いですよね? どんな魔法の鳥かごを?」
「ん~例えば…これはどんな大きさの物も入れられるから、ミニチュアを楽しんだり邪魔なものを入れてもオッケー!(笑)」
「そんでこっちは入れたものが浮くようになってて、中でフワフワ浮く様子が見れるよ。」
「あっちのカゴは水が入ってて、水中をアレンジ出来るやつだね。あと他にもいろいろ!」
「へぇー!おもしろいですね。見た目もオシャレだしどれか買っちゃおうかな~?」
「ありがとう♪気になったのがあれば言ってね。」
わたしの部屋でもトリカゴノユメをみるぞ☆
――「よっ!相棒っ!今日も1日、よろしくなっ!」
ポンッと肩をたたかれた。
大声で他の皆にも挨拶をして回る彼は僕のバディだ。
お人好しでお節介、人懐っこくて、おっちょこちょい。でもやるときはやる男!
そういう人だ。
性格や考え方が真逆すぎて出会った頃は大変だったけど、今はもう彼以外の相棒なんてしっくりこなくなってしまった。
――「こちらこそ、今日もよろしくお願いします!」
そう返すのは俺のバディ。
相変わらずの真面目くんだなぁ~、もうちっとフレンドリーでもいいのに。まぁそれでこそ、こいつか。
顔良し、頭良し、運動神経も抜群!
物静かぁ~な性格で、めちゃくちゃ細かい。
でも良いやつだ。
始めは喧嘩ばっかで心配だったが、今じゃコイツ以外の相棒は考えられねぇなぁ~!仲良くなったもんだ。
――「よっし!そろそろ行くかっ!!」
――「はいっ!行きましょう。」
花が好きだ。
生き生きと咲き誇る姿も
飾られたドライフラワーも
ラッピングされた花束も
栞になった押し花も
それぞれ形は違っても、美しいものは美しいのさ。