【視線の先には】
誰かが言ってた。
『目に見えるものが真実とは限らない』って。
どこかで読んだ。
『大切なものは目に見えない』って。
そうだね。きっとそう。
だから視線の先にあるのは………
ただの現実。
もっと感じて。もっと考えて。
自分と世界を繋いで。
そうすれば、心の視野が広がっていくよ。
【私の名前】
私はウサギのぬいぐるみ。
真っ白で、左右の耳の長さが違うのがチャームポイント♪
仲間と一緒におもちゃ屋さんに来たばかり。
どんな人がお家に連れて行ってくれるのかな。
楽しみだな♪
しばらく経った。旅立っていった仲間たち。
私はまだお店にいた。
おかしいな?私どこか変なのかな?不安が押し寄せる。
このままずっと…ひとりぼっちはさみしい…
―――「わぁ、かわいいウサギさん!お耳!わぁ~~!おかあさん、わたしこの子がいい!」
「名前もねえ、きめたっ! 白くてフワフワだから『ゆきちゃん』!よろしくね~!ゆきちゃん♪」
お店に来たツインテールの女の子が私を抱きしめる。幸福感に包まれた。
私はゆきちゃんになった。もうさみしくない。
【今一番欲しいもの】
真夏日の太陽は
アスファルトを焼いて
ジリジリと身体を焦がす。
乾いた地面に、
渇いた喉に、
冷たい水が 生命の源が しみる。
【もしもタイムマシンがあったなら】
「タイムマシンなんて夢だな!もし未来で完成してたら、絶対に過去に来てるだろ。現代に未来人いないじゃん!」
「そうかなぁ。来てても秘密にしてるのかも?よく映画とかであるよね。過去を変えるのは禁止!って。だから誰にも言えないし、みんな知らないのかも」
「まぁ、その可能性もあるか…
お前はタイムマシンがあったらどうする?」
「僕は…特にどうもしないかな。
未来はこれからわかるんだし、過去も変えられない。なら今にいればいいかなって」
「はぁー?つまんねぇな!ま、お前らしいけど。俺ならちょっくら未来を冒険して、成長した男になって戻って来るぜ!」
「ははっ!君らしい」「おうよ!」
…ピピッ
『タイムマシンについての会話を検知。
内容を確認中…確認中……
問題なし。監視を続行します。』
現代の私たちは知らない。
どこかに未来人が仕掛けたシステムが存在しているということを…
「お嬢様、お誕生日おめでとうございます!!
さぁ、お食事の準備が整いましたので、こちらへどうぞ!」
満面の笑みだ。
そう呼びに来たメイドは、うちに来てからもう長い。住み込みで働く彼女はいつも優しく、一人っ子の私にとって姉のような存在だった。
そう…
今まで当たり前すぎて気付かなかったけど、家族と同じくらい大切な存在になっていたのね、、、
よし、決めたわ。
「ねぇ、今年はお父様たちも海外でいないし、あなたも一緒に食事をしましょう!
私だけじゃ多すぎるし、それに…記念日は誰かと一緒に食べるほうが素敵でしょ?」
――笑顔がもう一度こぼれた。
あ、懐かしい。
部屋を片付けていると見つかる、昔のあれこれ。
旅行のお土産のキーホルダー、祖父母にもらった謎の置き物、プレゼントのぬいぐるみ、友達と交換した手紙…などなど
過去の記憶がよみがえってくるね。
忘れちゃってることもあるけれど。
いろんな人に会いたくなる。
思い出のトンネルを通って、あの日に行けたらいいなぁ…なんて
遠い日に思いを馳せた。
空を飛べたらなぁ…
――天使みたいに翼を羽ばたかせて。
――魔法使いのように箒に跨がって。
――超能力者みたいに念力で浮いて。
――サンタクロースのようにソリを操って。
――空飛ぶ国の末裔みたいに光る石を使って。
――ランプの魔神と出会った青年のように絨毯に乗って。
――宇宙人と友達になった男の子みたいに自転車をこいで。
――優しくて怠け者の少年のように秘密道具を頭に付けて。
ファンタジーって最高だね!
「待てっ!!」
「待て待て待て待て…」
「待て、待て、待て、待て、」
「待て~、待て~、待て~~、待て~~~、」
「待って~、待って~~、待って~~、」
「待って~、待て~、待って~、待て~、」
「待て~~、待って~~、待って~~、まっ「ガウガゥッ!!」ガッガッ
もう待てないワンっっ!!!!!!!!