「今日は星が綺麗…、あのさ、来年またここで会おうよ」
「…」
「今日と同じ日、夜の11時に集合ね」
「…来れるのか?」
「うん、約束する」
「…」
「絶対来るからさ。一緒に流れ星を見よう?」
「…雨かも」
「それは大丈夫。データベースによると、この流星群はここ数百年の間で一番すごいんだって! だから君と見たい」
「……わかった。じゃあ待ってる」
「っよし!決まり! あ、そろそろ行かなくちゃ」
「おう、またな。」
「君も元気でね。秘密はちゃんと守ってよ?信じてるから。それじゃあまたね」
そう言うと彼女は500年後へ帰っていった。
僕にとっては一年後だけど、彼女はいつだって『来年』に行ける。
はぁ、次に彼女が会いたいと思ってくれるのは、いったいいつなんだろうか…
僕はただ、その未来を待つしかない。
最近、時間があっという間に過ぎていく。
幼いころの記憶では、もっと長かったはずなのに…
だから、たまに思い返すんだ。幼い時のこと。
1月1日にはお年玉をもらって、
節分には豆を投げて、
春になったらお雛様とお祝いして、
誕生日が来たらプレゼントをもらう。
こいのぼりを見て柏餅を食べたり、
長靴履いて水たまりにジャンプしたり。
笹に吊るした短冊や夜空、
夏祭りで見た初めての花火。
秋にはお月さまとお団子食べて、
運動会では、かけっこに出た。
サツマイモ掘りに出掛けたら、
12月にはケーキとプレゼントが待ってる。
記憶は曖昧。でも楽しかった気持ちは覚えてる。
大事なことだから。忘れないように。
大人の僕たちは、ある日、気付く
何気ない毎日が、どれだけ大切だったかを
平凡な生活が、実は満ち足りていたことを。
朝ごはんのパンが美味しかったとか
庭の花がきれいに咲いたとか
ずっと失くしてたものが見つかったとか
街でふらっと友達と出会ったとか…
そんな些細な出来事があればそれでいい。
落ち着く青、
癒しの緑、
温もりの赤、
元気の黄、、、
色を言葉にするのはむずかしい…
だって地球には、
数えきれないほどの色があるでしょう!
奇跡の星だね。
ここに生まれたあなたは幸せ者。
自分だけのお気に入りを見つけてね。
ただなんとなく生きていた。
流されるままの人生。
都会の雑踏の中にいると、ときどき自分が存在していないんじゃないかって錯覚する。
スクランブル交差点、行き交う人々。
真ん中で立ち止まってみた。
誰もが邪魔者扱いして通り過ぎて行く。
そんな現実に少し安堵した。
「――何でとまってるの?」
たった一人、足を止めた。
目の前のその人は、真っ直ぐこっちを見ている。
全てを見透かしたような大きな瞳、
そこに映る『自分』が見えた。
瞬間、生まれて初めて、本当に生きてるんだって思えた。
これが君との出会い。
君こそが存在証明。