萌葱

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1/9/2023, 4:18:36 AM

たくさんの色で溢れかえっているこの世界で、私はいったい何色なんだろう。

1/7/2023, 2:14:46 PM

雪/創作

関西方面だというのに、めずらしく雪が積もった。
だから彼と散歩がてらに公園に雪遊びに来た。
彼は寒いし嫌だと渋っていたけれど、半ば強引に連れ出した。
私がせっせと雪だるまをつくっている横で、そんな私には目もくれず、彼はずっとスマホをいじっている。 


もう、私と居ても楽しくないんだろうな。

去年はちらちらと空を舞うほどだった雪も彼と私は馬鹿みたいに大はしゃぎで、雪を掴もうと二人して何度も空に手を伸ばした。

もう、私のことを好きじゃなくなったんだろうな。

私を見つめ、嬉しそうに目を細める彼はもう居ない。


だけど、もうちょっと、もうちょっとだけ…


私はぎゅうぎゅうと雪だるまをより一層力を込めて固めた。
どうせ、明日になれば何事もなかったかのように、この公園のほとんどの雪が消え失せている。
けれどこうして固めて置けば明日になっても少しは、この雪だるまの形状は残っているだろう。


私が彼の事が未だに好きだと言う気持ちも、この雪だるまのように大きく、ぎゅうぎゅうに固めてから、今からでも彼に渡せばまだ少しは、彼の心の中での私が少しでも長生きできるかな。

なんて馬鹿な事を考えながら、私はひたすら雪だるまを作り続けた。

1/5/2023, 1:43:23 PM

冬の晴れた日の朝の、痛いほどからりと澄んだ空気が好き。

12/29/2022, 2:22:38 PM

「みかんってさ、家族で食べるものじゃない?」
伏し目がちにみかんの皮を剥きながら、彼女はそう言った。
「…そうかな?」
「そういうイメージがある」
僕の曖昧な返事に、彼女はみかんを剥き続けながら答えた。
「こたつに入ってさ、このみかん酸っぱいねーとかこっちは甘いよーとか言ってさ、…食べてたなぁ昔。冬になるといつもこたつの上に置かれてあったし」
…たしかにそう言われてみれば、そんな思い出もあるような気がする。僕が昔の事を思い出していると、
彼女は剥き終えたみかんを一房口に放り込んでいた。
「うわ、酸っぱい」
大袈裟に顔をしかめて言うもんだから、思わず笑ってしまった。
「ね、そっちのみかんも酸っぱいの?」
彼女は僕が食べていたみかんに視線を移してそう尋ねた。
「ううん、こっちのは甘い」
そう答えると、なんだか彼女は照れたように笑った。

12/27/2022, 11:29:15 AM

彼は手ぶくろをわざわざ外して、
「ん」
と私に片手を差し出した。彼の頬は真っ赤に染まっている。赤いのは、寒さのせいだけじゃないのかも。
私が手を差し出すと、彼はするりと指を絡ませ、「早く行こう」とばかりに手をひいて歩き出した。
寒がりの彼が、手ぶくろを外してまで手を繋いでくれるなんて。
やった、手ぶくろに勝った。
なんだかとても嬉しくなって、私はぎゅっと手を強く握り返した。

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