彼は手ぶくろをわざわざ外して、「ん」と私に片手を差し出した。彼の頬は真っ赤に染まっている。赤いのは、寒さのせいだけじゃないのかも。私が手を差し出すと、彼はするりと指を絡ませ、「早く行こう」とばかりに手をひいて歩き出した。寒がりの彼が、手ぶくろを外してまで手を繋いでくれるなんて。やった、手ぶくろに勝った。なんだかとても嬉しくなって、私はぎゅっと手を強く握り返した。
12/27/2022, 11:29:15 AM