雪/創作
関西方面だというのに、めずらしく雪が積もった。
だから彼と散歩がてらに公園に雪遊びに来た。
彼は寒いし嫌だと渋っていたけれど、半ば強引に連れ出した。
私がせっせと雪だるまをつくっている横で、そんな私には目もくれず、彼はずっとスマホをいじっている。
もう、私と居ても楽しくないんだろうな。
去年はちらちらと空を舞うほどだった雪も彼と私は馬鹿みたいに大はしゃぎで、雪を掴もうと二人して何度も空に手を伸ばした。
もう、私のことを好きじゃなくなったんだろうな。
私を見つめ、嬉しそうに目を細める彼はもう居ない。
だけど、もうちょっと、もうちょっとだけ…
私はぎゅうぎゅうと雪だるまをより一層力を込めて固めた。
どうせ、明日になれば何事もなかったかのように、この公園のほとんどの雪が消え失せている。
けれどこうして固めて置けば明日になっても少しは、この雪だるまの形状は残っているだろう。
私が彼の事が未だに好きだと言う気持ちも、この雪だるまのように大きく、ぎゅうぎゅうに固めてから、今からでも彼に渡せばまだ少しは、彼の心の中での私が少しでも長生きできるかな。
なんて馬鹿な事を考えながら、私はひたすら雪だるまを作り続けた。
1/7/2023, 2:14:46 PM