むらたま

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6/15/2024, 12:06:10 PM

近所のお姉さんからもらった、大好きだった本。
枕元に置いて眠るくらい好きだった。
中学校にあがった頃家に帰るとその本はバザーだかリサイクルだかに出されて私の元から去っていた。

数十年後、絶版になったその本をインターネットの古本屋でみつける。
高鳴る胸の音。
クリックする手が震える。
手元に届いて、懐かしい表紙をじっくり眺める。
今夜もこの本を枕元に置いて寝よう。

6/14/2024, 10:41:09 AM

夏の前のあいまいな空。
明日は晴れるか、雨が降るか。
明日になってみなければ分からない。

私の心模様もあいまいで。
あの人の事が好きなのかどうかも揺らいでいる。

明日になれば。
朝がくれば。
このあいまいさもすっきりするんだ。

6/13/2024, 10:59:37 AM

紫陽花の花が嫌いだった。
憂鬱な雨の下くすくす笑っているようで。
毎日色が変わるのも、こちらの不安定な気持ちを見透かされているようで。
薫りがないのも白々しい気がして。
夏になり、枯れた姿は醜い。

大人になって、紫陽花の花を改めて眺める。
自分の顔程ある、と思っていた花は手のひら位だ。
近くに寄ると染めたような色が美しい。
生きて、いるんだな。
瑞々しい、な。
命の輝きを紫陽花に感じるこの季節が少し好きになった。

6/12/2024, 10:11:32 AM

好き嫌いをしてはいけない、と言われて育った。
食事はもちろん、どんなものが出されても全て食べなくてはいけない。
友達も誰かを特別扱いしてはいけない。
五教科まんべんなく点数を取らなくてはいけない。

そんな考えに支配されている間に私の心は悲鳴をあげはじめた。
進路が、決まらない。
好きな事をやれと言われて口にした事を即座に否定される。
怖くて何も言えなくなり、病んだ。

今の私は狭いアパートで好きでも嫌いでもない仕事をしている。
唯一大好きなのは隣で寝ている黒猫だ。
私が選んだ、初めてのあなた。
全力で守るからね。

6/11/2024, 10:06:24 AM

この街が好きだ。
作業服の人達が朝早く仕事にでかける街だ。
底力のある街だ。
人情のある街だ。
昔から庶民が生きてきた街だ。
古い神社と商店、こどもの声もよく聞こえる。
味の濃いラーメン屋さん。
外国人経営のカレー屋さん。
ちょっとひ弱な私はこの街に力をもらって今日も生きている。

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