紫陽花の花が嫌いだった。憂鬱な雨の下くすくす笑っているようで。毎日色が変わるのも、こちらの不安定な気持ちを見透かされているようで。薫りがないのも白々しい気がして。夏になり、枯れた姿は醜い。大人になって、紫陽花の花を改めて眺める。自分の顔程ある、と思っていた花は手のひら位だ。近くに寄ると染めたような色が美しい。生きて、いるんだな。瑞々しい、な。命の輝きを紫陽花に感じるこの季節が少し好きになった。
6/13/2024, 10:59:37 AM