短編小説書きたい人

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11/4/2024, 6:20:38 AM

「あなたはどうして、わたしのまねをするの?」

そう問いかけても返事は無かった。

そりゃそうだ。

話しかけてるのは鏡に映った自分なのだから。

「…へんなの」

小さい頃の私には、鏡という物が理解出来なかった。

自分と同じ格好の子が、自分と同じ動きをして。

向こうは私の真似ばっかり。

けど、最近考えるようになった。

どっちが本当の私で、どっちが真似してるんだろうって。


【鏡の中の自分】

10/28/2024, 3:35:57 PM

「きゃっ!て、停電…?」

突然、エレベーターがガタンと揺れ動きを止めた。

辺り一面真っ暗で、ボタンが何処にあるのかも分からなかった。

「どうしよう…怖い」

スマホも持っていないから、連絡手段も無い。

私はカタカタ震えながら助けを待った。

『大丈夫ですか!!聞こえますか!』

何処からか大きな声が聞こえる。きっと助けだ。

「き、聞こえます!!助けてください!」

『………』

『よかった。まずは落ち着いて』

『今、消防の方に連絡したので安心してください』

「ありがとうございます…」

私は安堵し、ポロポロと泣き崩れてしまった。

『大丈夫です。消防の到着まで僕がここに居ますから』

何故か聞き慣れたような、そんな優しい声に

私は自然と癒されていた。

『暗いところ、苦手ですか?』

「…はい。昔から怖くって」

変わってないね。そうボソッと聞こえた気がした。

「…そういえば、お名前…なんて言うんですか」

『…拓也(たくや)です』

「え」

その瞬間、ドタドタと複数人が階段を上がる音が聞こえた。

『…じゃあね。美波(みなみ)』

それ以降、彼の声は聞こえることはなく

私は消防士に救出された。

その後、消防に電話を掛けたのは拓也と名乗る男、

消防士が駆けつけた時には誰もエレベーター前には居なかった事を聞かされた。

「…そっか。助けてくれたんだね」

拓也は、私の元彼だ。今もずっと大好きな。


【暗がりの中で】

10/23/2024, 12:39:54 PM

「僕は青いお空を見た事がない。

いつも見てるのは、黒いお空ばっかり。

だって出ちゃダメだーってお父さんに言われるんだもん。

お星様が見えるお空も綺麗だけどさ。

僕はやっぱり青いお空が見てみたい。

…お父さん、寝てる。

今なら、大丈夫かな。

…わ、まぶしい。

…へぇ、これがあおぞらって言うお空なんだね。

すごい。絵本で見たとおりだ。

あれがおひさまって言うやつなのかな。

あったかくて、きもちいい…。

なんでだろう。からだに力がはいらなくなってきた。

ああ、じめんもあったかいなぁ。

こんなきれいなおそらがみれて

ぼく…うれし…………」

そして、吸血鬼の子どもは灰になった。


【どこまでも続く青い空】

10/15/2024, 3:35:22 PM

多分、僕は世界で1番睨まれていると思う。

誰もが僕をじっと睨む。

それも鋭い目つきで。

僕の身体のいたるところを睨む。

普段、僕になんか気にも留めないくせに。

片目で睨みつけないでよ。

僕何もしてないよ。怖いよ。

ただここに突っ立ってるだけなのに。

「…えー」

「んー…う、上?」

『はい、視力Cね。全然見えてないじゃない』

「いやー、最近ゲームしてるからかな」

『ほんと気をつけるのよ』

『はい次。今度は右目隠してね』


【鋭い眼差し】

10/14/2024, 10:22:14 AM

「私、もうすぐ天国に行くんだ」

「だから、絶対会いに来てね」

『…当たり前じゃん。何処にだって会いに行くよ』

「嬉しい」

満面の笑みを浮かべた君は

その2日後、予告通り天国に行った。

会いたい。抱きしめてあげたい。

そんな僕の思いは無残にも

この世界の重力によって叶うことはなかった。

どれだけ高い所から手を伸ばしても

どれだけ高く飛び跳ねても

天国には届かない。

僕はふと、下を見た。

……ああ、なんだ。そう言うことか。

上に行くには

下に落ちる必要がある。

この世界って理不尽。

…でもこれで、

ようやく、会いにいけるよ。


【高く高く】

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