新幹線に乗るのは久し振りだ。
ずいぶん時間をかけて吟味を重ねて選んだ駅弁だが、乗車して早速広げると瞬く間に食べ終わった。
車窓を眺めていてもなんだか時間を持て余して、弁当を食べ終わった寂しさが募る。
ひま潰しに鞄から読みかけの小説を出して読み始めた。
電車の規則正しい振動が眠気を誘う。
まどろみ起きてはまたどこまで読んだっけ?と同じページで一進一退し、なかなかストーリーが進まない。
そのうち寝オチした夢の中で、読んでいた筋とはかけ離れたもう一つの物語が脳内で紡ぎ出されてゆく。
もう一つの物語
目が覚めるともうすっかり真っ暗だ。
今が何時かもわからない。
スマホがあれば懐中電灯にもなるし時刻も確認できるのに。
しかし手元を手探りで届く範囲には見当たらない。
記憶を頼りに部屋の出口の方へそろりと向かう。
ふすまを開けると暗がりの中で薄ぼんやりとLEDが光っている。
なぜ電気を消しても光っているんだ。
この前購入したLEDは不良品なのか?
それともLEDの特性でそういうものなのか?
いや、さらに前に買ったLEDはちゃんと消えるじゃないか。
でもトイレに行くにはゴースト現象がある方が都合がいいぞ。
次買うときもゴーストLEDにするか。
でもゴーストの有無はスペック記載はされてないしどうしたものか。
どうにか突き当りにたどり着き用を足す。
おっと、音を立てるのは危険だ。
排尿を一時停止して、サイコガンにサプレッサーを装着した。
ふぅ、これで安心だ。
着弾先は水面を避け、極力消音に努める。
ちなみに俺は小でも大で流す派だ。
ジャー、ゴポゴポ、しまった!ヤツに気づかれた!!
いくら細心の注意を払ってもポリシーだけは曲げられない。
やっかいな性格だぜ、やれやれ。
暗がりの中で
昼食を食べ終え、ひと心地ついた所でアイスティーを注文した。
文庫本を読んで待っていると湯気のたつホットの紅茶が提供された。
あれっ?頼んだのはアイスなのに。
するとすかさず氷に満たされたグラスにポットの紅茶を注ぎ始める。
ふーん、洒落たお店だなあ。
紅茶を注ぐメイドさんの所作に見惚れながら、氷が溶けて崩れゆく音が心地よく耳に響く。
おもむろにスティックシュガーを手に取りアイスティーに流し込んだ。
それを見た店員さんがギョッとして顔色の変わるのがわかった。
何でアイスなのにスティックシュガーを入れてしまったんだろう。
ぐるぐると自問自答しながら非常に恥ずかしくなって、急いでグラスに口につけ飲みだした。
アイスティーには溶けるはずもない砂糖の顆粒感がジャリジャリとする。そして甘すぎる。
紅茶の香りなんて楽しむ余裕もないまま、いそいそと退店して敗北感に項垂れながら今日も歩く。
紅茶の香り
働かないふたりが楽しそうでいいな
映画合宿とかやってみたい
今までの友達を思い出してみよう
どこで出会って、どんな思い出があったか、何が好きだったか、いいとこ、悪いとこ
大人になると友達が増えることはなかなかないから職場の仲間達でもok
友達
犬は換毛期になると指先でつまんだ分だけそのままフコッと塊で抜ける。
抜けかけた姿はデコボコとして暖かそうでもあり、貧相でもあり。
抜けた毛は土にかえりづらく庭中ワンコの毛だらけだったなぁ。
衣替え