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昼食を食べ終え、ひと心地ついた所でアイスティーを注文した。
文庫本を読んで待っていると湯気のたつホットの紅茶が提供された。
あれっ?頼んだのはアイスなのに。
するとすかさず氷に満たされたグラスにポットの紅茶を注ぎ始める。
ふーん、洒落たお店だなあ。
紅茶を注ぐメイドさんの所作に見惚れながら、氷が溶けて崩れゆく音が心地よく耳に響く。
おもむろにスティックシュガーを手に取りアイスティーに流し込んだ。
それを見た店員さんがギョッとして顔色の変わるのがわかった。
何でアイスなのにスティックシュガーを入れてしまったんだろう。
ぐるぐると自問自答しながら非常に恥ずかしくなって、急いでグラスに口につけ飲みだした。
アイスティーには溶けるはずもない砂糖の顆粒感がジャリジャリとする。そして甘すぎる。
紅茶の香りなんて楽しむ余裕もないまま、いそいそと退店して敗北感に項垂れながら今日も歩く。



紅茶の香り

10/27/2023, 5:10:19 PM