花咲いて
いつもの慣れた山に蕗を取りに行っただけなんだ。沢で足を踏み外した。怪我はしなかったけど、顔を上げるとそこはいつもの山の沢ではなく見渡す限りの原っぱで、紫色の花が一面に咲いてた。こどもが適当に描いたような丸い花びらの五弁花、なんだっけ、カタバミという花に似た花の陰から、親指大の小さな爺さんがでてきて、こっちを指さして「人のくるところじゃないわい、帰れ」とつぶやいた。それからどうなったかよくわからんのだ。気づいたらこの病室に寝てて、身体中に紫の花咲いたような痣。大丈夫だよね? おれ死なないよね? なんでみんな何も言わないんだ? どうして?
もしもタイムマシンがあったなら
クソくだらないね。タイムマシンはまずどれだけ飛べるの。11年? ああ。ごめん。100年飛べるの?そしてつまらんことにどこに飛べるかわからんのね? うーん、じゃあまず飛んでどこにいるか連絡できるのね?じゃあ連絡して。ふむ。2001年9月11日アメリカ?ダメ!戻ってきなさい。次。2011年3月11日? なんでそんなもんあんたピンポイントで選ぶのよ。ダメよダメ! タイムマシンがあってもそんなもんコントロールできないのよ、ねえ! いやなんでそこでべっこうあめ持ってくるの…わたしそれすきよ…でも歴史は変えられないのよ!仕方ないのよ!私も泣くの…
今一番欲しいものは「やる気」なんだけど、それはなんのネタにもならんのでとりあえずこれだけ書いて保全。もう少し面白いお題はないのかなあ。「引き出しの奥」とか。「屋根裏の音」とか。「冷蔵庫の中の不気味なねとねと」とか。
私の名前…思いついたら書くけど今日はたぶん思いつかん。
視線の先には
「空を見ろ!」「鳥だ!」「飛行機だ!」「いや、あれはスーパーマンだ!」という牧歌的かつ20世紀的なお馴染みの台詞を言うことはできなかった。「あれはなんだ!」との問いに誰も答えられなかった。人々はみな空を見上げた。その視線の先にある暗い物体が、どんな形をしているか語れる人はいなかった。視線を集めるたびその暗いものは成長した。人々は次第に空を見上げなくなり、疑心暗鬼な心をそのまま同朋にぶつけ始めた。誰かが誰かを傷つけるたび空の暗いものは大きくなる。やがて地に落ちてくるのだろう。そのとき私たちは私たちが作り上げたものと出会うのだ。