ささほ

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7/9/2024, 10:20:26 AM

私の当たり前

ごめん今夜は冷静になれない。私の当たり前など語りたくない。不特定多数の当たり前を語りたくない、聞きたくない、私はどうしてもこの場合の当たり前という言葉が好きになれない、それが私の当たり前だということすらつらい。あなたの当たり前は存在していい。私は立ち上がり私のすべての仮面を外し銀色の円筒を掲げて邪神ハスターに祈りを捧げる、「イア!イア!ハスタア!ハスタア!クフアヤク!ブルグトム!」…この行動は私にとっての当たり前ではない。ありったけの勇気と憧れをこめて祈る。当たり前など砕けて散れ。

***

以下蛇足。

私の当たり前とあなたの当たり前は違う。(当たり前

当たり前の日常が大切。(当たり前

当たり前と思ってることが間違ってるかも。(当たり前

大切じゃない壊すべき当たり前もある。(当たり前

私の当たり前とあなたの当たり前に共通項はきっとある。それはそれとして、インフラや暮らしやすさや平和のような当たり前はなくしたくないし、なくすべきではない。でも世の中には差別や理不尽な迫害が当たり前のように存在していてそういう当たり前はなくしたほうがいい。あと自然や社会に関する当たり前は常に疑っておいたほうがいい。当たり前は変化する。かつてクトゥルフ神話なんて超マイナーだった。いまはたくさんの人がクトゥルフ神話を知ってる!なんてすばらしい当たり前!

すごく素直に真面目に考えた、これらが私の当たり前です。イア!イア!ハスタア!

お目汚し失礼いたしました。

7/8/2024, 10:42:41 AM

街の明かり

農協があって、おでんも売る酒屋が一軒、洋服も売る雑貨屋が一軒、それから大都会という名のバーだかカラオケ屋だかがあって。たった四軒の店が並ぶその通りこそが私が生まれ育った街のメインストリートだった。そのメインストリートまで行くのにすれ違えないような道を車で30分走る。30分なら近い。あの四軒しかなかった街の明かりが私にとっては街の明かり原体験だ。いまでは、もう、一軒も残っていない。誰も店を継がなかった。農協だけは最近まであったが併合されて消えた。人はまだ住んでいて夜は明かりが灯るがあれは街の明かりではないと思う。

7/8/2024, 9:40:05 AM

七夕

七夕や眼鏡を捨てて歩く姫

ウォッカは凍らして飲む星の夜

笹飾りベテルギウスよはよ爆ぜろ

(書けないので適当に俳句書いて保全

7/6/2024, 10:32:31 AM

友だちの思い出

小学生のとき仲がよかったその友だちは、確かに友だちだったし毎日遊んでいたのだけど、いま思い返してもひどいヤツだった。平気で人の金を盗むし万引きするし学校はサボるし人をパシリにするし、自分でもなんで一緒にいたのかわからない。という話を小学校の同窓会で話したところ「そうそうアイツはそういうヤツだった」との賛同を多数得られた。なのに、肝心の「アイツ」の名前を誰も思い出せないしここにアイツは来てない。人の宿題を勝手に写したりカンニングしたり素行の悪かったアイツ、行動は印象的だったはずなのに顔も名前も思い出せないアイツ、僕たちはどうしてもアイツの家や家族を思い出せなかった。アイツは本当に存在したんだろうか。僕たちが僕たちの罪を背負わせるために作り出した存在だったんじゃないのか。僕は首を横に振る。アイツはひどいヤツだった。そういうことにしておきたい。

7/5/2024, 12:31:12 PM

星空

「マスター、ここ清酒あるのー?」
と、店に入るなり叫んでみた。

「おまえな、ここカクテルバーだぞ」
「マスター自分は清酒飲んでた!知ってる!」
「あるにはある。小夜衣と開運だ。てかおまえいつもチューハイ飲んでたろ。急に日本酒なんてどうした」
「小夜衣ちょうだい」

マスターにうまく説明できる気がしないから徳利で出てきた小夜衣をおちょこについで飲みながら窓の向こうを見る。七夕は雨が降りやすいけど今日は晴れててわし座が見える。

「約束したんだ。今日晴れたら酒を飲もうってね。でもそいつ濁った酒しか知らないんだって。だから透き通った日本の酒を飲ませたくてー」

おれ、あんまり酒強くないけど清酒はうまいと思う。小夜衣は甘くて優しくて大好きだ。

「一応聞いとくがそいつは人間か?」
とマスターが聞くけどそんなこと知らんと言いかけたら店のドアがちりんと鳴って、

「今日は挨拶にきただけ。明日また来るね」
爽やかに閉めたドアのまわりに舞い散る光の金粉。
まるで室内に唐突に現れた星空。

「おい。もう一度きくけどあれは人間か?」
「うーん。たぶん…彦星だと思う…」

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