幼稚園児の私は、1年生を夢に見て
1年生の私は、6年生を夢に見て
6年生の私は、中学生を夢に見て
中学生の私は、高校生を夢に見て
高校生の私は、大学生を夢に見る。
大きなランドセルを背負いたい。
1年生に憧れられる立派なお姉さんになりたい。
部活で活躍してチヤホヤされたい。
放課後にスタバで友達と勉強したい。
都会に出て自由に暮らしたい。
そうやってふわふわした夢を掲げることでしか、未来のことを考えなかった私の心に、鋭い刃が刺さった。
「もっと将来を現実的に見なさい。」
将来何を学びたいとか、どんな仕事をしたいとか、真面目に考えたことがなかった。夢はあったが、現実的ではなかった。受験期が刻々と迫る中、周りが勉強し始めてピリピリしている中、私は志望校すら決まっていない。私が本当にしたいことって何だろう。考えても、考えても、大学生の自由度のせいで、馬鹿みたいなことしか思いつかない。
まだ、ふわふわした夢を持っていたい。理想論だけ語って生きていきたい。未来に夢と希望がある方が、人生楽しくなるだろう。
とはいえ、そろそろ担任に追いかけ回されそうだから、真面目に進路を考えることにする。ちゃんと固まったら、また夢を膨らませて、それが叶うまで見ていたい。
ずっとこのままでいたいって思うことも
実際そうなれば飽きてしまうだろう
ずっとこのままではいられないってわかってて
ずっとこのままでいたいって思うのなら
その瞬間は本当に価値のあるものだよ
寒さが身に染みて震えた。
今日は昼間は暖かいってお天気キャスターが言っていた。だから上着もマフラーもカイロも持ってこなかったのに、こんな夜遅くまで彼に引き止められるなんて。
帰りの電車の時間まで、駅で待つのは知り合いに会いそうだったから、駅裏の公園のベンチでずっと話していた。強がりな私は、「寒い」という言葉を発することすらできなかった。彼に心配をかけたくなかったから。
彼は話しながらコートを脱ぎ、私に羽織らせた。私の左手を掴み、ポケットの中に入れた。カイロの熱で暖かかった。私にお礼を言わせる暇を与えてくれなかった。次の電車を逃したら、塾に遅刻する。私は急いで駅のホームへ向かった。「寒い」も「ありがとう」も言えなかった。
また、寒さが身に染みて震えた。
「月を描いて」と言われたら、多くの人は迷わず三日月を描くだろう。
月は球体なのに、満月を描けばいいのに、どうしてわざわざ欠けた月を描くの?
私は不思議でたまらなかった。
満月が見られるのは月に一度だけ。
三日月を見られるのだって、厳密には月に一度かもしれないけれど、夜空を見上げると浮かんでいるのは、たいてい三日月っぽい形の月。
満月のような丸いものは、どこにだってある。
三日月のような形は、月でしか見られない。
私たちにとって一番馴染みのある月の象徴は、三日月なのかもしれない。
私は滅多に雪の降らない地で過ごしている。
以前、祖父母の家に行った時、ちょうど雪が降っていた。
空から舞う粉雪を被りながら外を歩いた。
翌日、積もった雪で地面は真っ白だった。
雪だるまを作った。雪玉を投げた。真っ白な地面に指で絵を描いた。
田舎の祖父母の家の広い庭。この真っ白な雪で自由に遊べるのは私だけ。この雪は全て私のもの。
少しでも雪が降ればテンションが上がる。そんな地に生まれた私にとって、雪は特別なもの。もう雪遊びなんてするような歳じゃないけれど、あまりに非日常的な経験に、はしゃぎすぎてしまった。
一人なのに、寒いのに、ずっとここにいたいと思った。ずっとこの雪を独り占めしたいと思った。
今もまだ、雪が恋しい。