ゆらゆら揺らめく炎はほんのり赤く色づいて部屋を照らしていた。
そして、やがて眠気がやってきて…
目が覚めると不思議なところにいた。見覚えもないただただ何もない空間。
暫くあてもなく進むと一枚の紙を見つけた。
ーこの部屋から出たければ以下の通りにすれば良い
暗きに門が出でしとき、目の先の明かりを追うべし
ただし、偽の門であればここからは出られないー
なんとも不可解な文章だ。
そもそも暗きには出会っていないし、門もまだ見ていない。
それに、偽の門とは一体なんだろうか?
この先を進めば答えはわかるのだろうか?
そう思いさらに歩を進めるといきなり床がすっぽりと抜け落ちた。
落ちた衝撃を受けながらもそっと目を開けると真っ暗な静寂があった。
ふと思った。
さっきの暗きとはここのことなのだろうか?と。
そう仮定するならば、門があるはずだ。
そう思い周りを見渡してみた。
真っ暗ではあったが少し目が慣れてきて周りがある程度視認できるようになった時、少し先に鳥居らしきものを見つけた。
きっとこれが門なのだろう。
そう思い鳥居に向かって進み始めた。
鳥居の奥には火のついたキャンドルがあった。
目の先にある光を追え。その言葉を信じて鳥居をくぐった。
次の瞬間、目の前で
このクラスは僕に沢山の想い出をくれた。
入学したてで緊張していた僕に声をかけてくれた人がいた。
校長先生の話の後に、長かった。と言い合って笑った人もいた。
運動会で一致団結して3年の先輩に張り合って応援を大声でした。
走る競技が苦手な僕にコツを教えてくれた。
優勝はできなかったけど、皆で頑張ることが出来た。
文化祭。
クラス全員で放課後に談笑しながら出し物を作った。
くだらない話で盛り上がって、すごく楽しかった。
出し物も上手くいって、すごく嬉しかった。
衣装も手作りなのにクオリティーが高かった。
音楽祭。
皆で声を合わせて歌った。
途中で仲たがいもあったけれど、上手く言った。
テノールだった僕は、他のパートをあまり知らないけれど、少なくともテノールでは皆が楽しんで歌えた。
クラス替えの前日。
先生から話があった。
個性についての話。
個性とは一体何だったのだろうか?
大人になった今もまだわからない。
それでも、考えることが大事だと先生は言った。
だから、僕も考えることをやめない。
クラスで集まる最後の日。
僕は泣いた。
今までのことを全部想い出にしきってしまって。
新しい未来へと一歩を踏み出すために。
あなたと付き合った。
告白した時緊張で声が震えた。
下を向いたまま前を見れない私に、あなたの優しい声が届いた。
優しい声で残酷な言葉を…あなたは言った。
視界が滲んだ。
コンクリートで固められた地面が、少しだけ色を濃くした。
あなたはそれを見ているのか知らないけれど、そのまま優しい声で続けた。
それは、ひどく甘美な誘いで、やっぱり残酷だった。
あなたはこんなのにも残酷なのに、それでも私はあなたが好きだ。
だから、この甘美な誘いに乗ることにした。
あなたと過ごす日々はかけがえのない時間となった。
あなたがいる日々は何時もより眩しくて明るい世界が広がっていた。
デート終わりは淋しくて、一人で家で泣いたり、その後いずれこんなこともなくなると落ち込んだりした。
その時間は幸せがゆえに未来を考えるとひどく辛くなった。
冬なんて来なければいい。
冬が来ればこの幸せな時間は失われてしまう。
それでも、冬は来る。私がどれだけ来ないように祈っても。
だってあなたはあの時、ひどく優しい、冬のような寒さなどみじんもない声でこう言った。
「今だけ付き合ったげる。でも、冬になったら恋人ごっこはおしまいね。」
雨の日。仕事帰りに子猫を見つけた。
雨に濡れて寒そうにしている、段ボールに入った子猫。
最初に思ったのは、今どきこんなことするやついるんだ。だった。我ながら少し冷たい感想だったと思う。
俺の家は狭く、とてもじゃないがペットを飼うスペースはない。
それに、俺自身も遅くに帰るからペットを飼うのに向いていない。
だから、子猫のことは見なかったことにして帰ろうとした。
子猫の鳴き声が聞こえた。
そこからはよく覚えていない。
ただ、いつの間にか子猫は俺の部屋にいた。
捨てるわけにもいかないから俺は一生懸命部屋をきれいにして早く帰るようにした。
いつの間にかその子猫は大きくなって、俺は猫とともにいることが日常となった。
餌を買いに行ってから帰ったある日。
いつもは聞こえる鳴き声が聞こえなかった。
慌てて駆け寄れば、どことなく苦しそうだった。
病院に連れて行った。
もう、治ることのない病気だと言われた。
余命はほんの少ししか無かった。
俺は会社を休んでずっとそばにいた。
ある日、家を君は飛び出した。
追いかけると君は道路に飛び出した。
俺が声を掛ける前に、道路を車が通って、君は轢かれて死んだ。
車が去ってから俺は君に近づいた。
君はもう、息をしていなかった。
俺は泣いた。
いつまでもいつまでも。泣いた。
せめて寿命を全うするまで一緒にいたかった。
でも、君はもういない。
今までありがとう
沢山の思い出と
沢山の喜びを
私はあなたにもらった
今までありがとう
君とは今日でお別れだ
思い出とももうお別れだ
それでも、忘れやしないから
私は忘れやしないから
また会いましょう
きっといつか出会う日が来るから
また会いましょう