森川俊也

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あなたと付き合った。
告白した時緊張で声が震えた。
下を向いたまま前を見れない私に、あなたの優しい声が届いた。
優しい声で残酷な言葉を…あなたは言った。
視界が滲んだ。
コンクリートで固められた地面が、少しだけ色を濃くした。
あなたはそれを見ているのか知らないけれど、そのまま優しい声で続けた。
それは、ひどく甘美な誘いで、やっぱり残酷だった。
あなたはこんなのにも残酷なのに、それでも私はあなたが好きだ。
だから、この甘美な誘いに乗ることにした。
あなたと過ごす日々はかけがえのない時間となった。
あなたがいる日々は何時もより眩しくて明るい世界が広がっていた。
デート終わりは淋しくて、一人で家で泣いたり、その後いずれこんなこともなくなると落ち込んだりした。
その時間は幸せがゆえに未来を考えるとひどく辛くなった。
冬なんて来なければいい。
冬が来ればこの幸せな時間は失われてしまう。
それでも、冬は来る。私がどれだけ来ないように祈っても。
だってあなたはあの時、ひどく優しい、冬のような寒さなどみじんもない声でこう言った。
「今だけ付き合ったげる。でも、冬になったら恋人ごっこはおしまいね。」

11/17/2024, 10:53:07 AM