お前は見たことがあるか
窓辺から差し込む朝の日差しのように、こちらをぱちと覗き込むあの黄金の瞳を
部屋の隅に丸まり背を向けていても、つきつきと背中を突き刺すあの業火のような眼差しを
お前きっと、見たことなんかないんだろ……
お題「部屋の隅で」 おまねむ
お前はすべてを焼きつかせる太陽
「そんなに泣かないで かわいい顔が、台無しじゃないか」とおれの涙を恭しくコットンの手袋でぬぐい去るお前は
「ふふ ああ、ぐちゃぐちゃで ハンサムが台無しだよ」とたおやかに微笑むお前が
「ところで きみの名前は なんて言うのだっけ」と小首を傾げてこちらを見あげるお前こそ
お前がおれの世界に帳を下ろした悪魔のくせに……
おれのみちを照らす太陽なのも、あなたなのだ……
お題「泣かないで」 おまねむ
帳の降りた薄暗い箱の中で、あのお方の黄金の瞳が、燃ゆるロウソクの火に当てられていっとう眩しくきらと瞬いた
「もう、お前は、いいです。全く期待外れの退屈な時間でした」と失望の言葉とは裏腹にあのお方はたおやかに微笑んでそう言った
とん……と手袋に包まれた細い指がおれの胸をつつく
おれのたましいだ おれのたましいがふわとおれの胸の上に浮き上がって「まだ終わらせないで」と泣いている
あのお方はおれの哀れなしわくちゃの魂を見てやはり、たおやかに微笑んだ……
「なんだ、お前……魂までつまらないですね」……と
お題「終わらせないで」 おまねむ
ぎらめく太陽の下で、あのお方の顔が、逆光でよく見えない……
だが確かに、あのお方の唇は「きみこそがわたしの、特別だよ」と! うごいた……
あのお方がこちらに歩み寄って……跪いて歓喜の涙を流すおれの額にキスをする
あつい……溶かされてしまいそうだ……あのお方は、太陽そのもの、なのだから……でももう、なんだっていいよ だっておれは太陽にキスをされた男なのだ
おれはあのお方に溶かされるただゆいいつのアイスクリームなのだ! アハハ アハハ……
あのお方が見下ろすと 床のしみになった、おれ……
お題「太陽の下で」 おまねむ
あのお方の胸ポケットから滑り落ちたボールペンを、「いらないから、あげる」と気まぐれにくれたボールペンを、あのお方にとっては処理する手間がはぶけた…というくらいの感覚だろうただのボールペンを…
おれ今日もそっと握りしめて生きている…
聖書のように、こころの隙間に軛のように刺しこんで
あのお方のたおやかな笑みを思い出す
誰にも渡すものか
これは、おれだけの、あのお方からこぼれ落ちた欠片であるからだ
おれだけの…宝物…だからだ…
お題「宝物」 おまねむ