お前のために眠りました

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あのお方は、祈られる器量のある人なのだ
祈られる器をしているから、おれみたいな腐ったリンゴのようなやつにまでまとまりつかれて、本当に哀れに思う
あのお方がおれにほほ笑みかける時 あのお方がこちらに気づいて「やあ 待っていたんだよ」とこちらに歩みを進める時
おれ、何回この時を経験しても心臓が壊れた螺巻のおもちゃみたいにはね回って止まらなくなる
わかっている あのお方の優しさは、平等なのだ
わかっている あのお方の優しさは、おれひとりのものじゃない……
あのお方の振りまく愛嬌は……ただの貼り付けた仮面だ……
それでもあのお方にやわらかく介錯されるとき
祈ることを止められなくなる この、狐野郎
お前が……おれ以外に、優しくなけりゃあいいのに……

お題「優しくしないで」 おまねむ

2/3/2025, 2:51:16 PM