ジーキャー

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11/30/2024, 10:52:48 AM

 泣かないで、という私の言葉にあなたは耳を貸すことはしないだろう。
 あなたとの別れは寂しいもの。けれど、私は信じている。
 新しい別の世界で私とあなたは再会を果たすのだろう。
 そして、またこの世界で私はあなたに永遠の愛を誓い捧げたように、次の世界でも、また同じように愛を誓い捧げるのだろう。
 今は悲しみの涙を流す時なのかもしれない。けれども信じて欲しい。
 次の世界で、私とあなたが流す涙は、再会の喜びによる嬉し涙であると言うことを。
 どんなに離れていたとしても、私は絶対にあなたを探し出す。見つけてみせる。
 運命の赤い糸があるとするならば、私とあなたとの糸は結ばれているのだろう。
 その糸を手繰り寄せて、結ばれているであろうあなたの指へと辿り着いてみせる。
 だから、心配しないでほしい。思い悩まないでほしい。
 どんなに時がかかるとしても、私は絶対にあなたに会いに行く。このことを信じて待っていてほしい。
 今は悲しみの別れの時だとしても、次に会う時は、喜びによる再会の時にするのだからーー。

 ーーそう言って、彼は彼女を遺して先に息を引き取りました。そして、彼女も彼の後を追うかのようにして息を引き取りました。
 彼と彼女が次の世界で再会できたかどうか。それは誰にも分からないでしょう。
 しかし、信じればきっと、彼が言い遺した運命の赤い糸を手繰り寄せて、再会を果たすのでしょう。
 それは次なる世界での楽しみの一つとして、私とあなたの観る喜劇なのですからーー

11/30/2024, 3:28:30 AM

 冬のはじまりは寒いもの。寒さから始まると言っても過言では無い。
 外出時にはコートを羽織る。黒いコートを羽織って。
 枯れ木の道を歩いて行く。落ち葉の道を。白い吐息を吐きながら。
 風が吹く。冷たい風が肌にあたる。身震いがする。部屋が、家が恋しく感じられる。
 暖かい部屋の温もり。暖房が効いてくる時間をどう過ごすか。
 毛布に包まるのもいい。暖かい温もりに包まれて。
 今年の冬も寒くなるだろう。日が当たるとしても、風邪が吹いているから。
 日向が恋しくなる季節。過ぎ去った夏の暑さを恋しく思うとしても。
 冬が始まる。数ヶ月のも及ぶ寒い時が。生命が眠りに着く時が。
 冬の終わりは暖かい春。その時はまだ訪れない。冬はまだ始まったに過ぎないのだから。
 時は行き、時は逃げ、時は去る。その時にならなければ春は訪れない。
 来年の春は暖かいのだろうか。その時になるまで誰も分からない。
 今年の冬も寒いのだろう。冷たい風が吹くのだろう。温もりが恋しくなるのだろう。
 人肌の温もりが。暖房の温もりが。それぞれ異なるとしても。寒さがあるがゆえに、温もりがより恋しくなるのだーー。

 ーー世界は巡る。季節も巡る。時も巡る。その循環は誰であっても逆らうことはできない。境界は定められている。その境界を逆転させることは人にはできないのだーー。

11/28/2024, 11:19:34 PM

 終わらせないで。そう彼女は願う。せっかく勇気を出して告白したのに、それが終わってしまうなんて。
しかし、彼の決意は変わらない。彼女がどんなに願ったとしても、終わらせてしまうから。何もかもを。
 終わらせないで、と繰り返し彼女は願う。願いを重ねるように。このままの関係を続けていきたい。他に道がきっとあるはずだから。
だがしかし、彼の決意は揺るがない。すべてはすでに決められている。彼はそれに沿って動いている。
イレギュラーがあるならば、彼女のことだけ。それでも、決められたレールは変えることが無い。
 運命の時が迫る。彼女にとっての絶望の時が。彼にとっての終わりの時が。
 そして、彼女の願いは叶うこと無く、彼は終わりの時を定めた通りに終わらせた。
 彼女のショックは大きかった。どんなに願っても、願いは叶わなかったのだから。
 その日以降、彼は彼女の前に現れることは無かった。避けられているかのように。
 彼女にとって彼は。冷たくて怖くも優しい人だった。でも、定めた終わりを覆すことは無かった。
どんなに願ったとしても、彼の決意は不変で揺らぐことは無い。それを思い知らされてしまった。残酷にも。
 彼のことを知る人たちは、彼のことを身勝手な奴だと批判していった。けれどもこれは仕方の無いことだった。
 やり直したい。すべてを。この手で終わらせるとしても。その願いは決して変わらない。
不変の決意であり、願いでもあるのだから。
 そして、皮肉にも世界は終わりを迎えることになる。管理者たちによる黒い嵐によって。
滅びを迎えることになる。彼と彼女が出会った世界はーー。

ーー運命というのは皮肉を孕むのが好きなもの。その皮肉を覆す術は誰も持っていないもの。人は為す術が無いのだーー。 

11/27/2024, 11:08:38 AM

 私は何に愛情を抱いているのだろうか。人に対してだろうか。物に対してだろうか。お金に対してだろうか。
 人に対してならばどうだろうか。友人たちに親愛の情を抱いている。しかし、過度に深い愛を抱くことはない。
 物に対してならばどうだろうか。一つの物が無くなった時は悲しいとは思う。しかし、別の何かに思いを向けるのだろう。スパッと切り替えるようにして。
 お金に対してならばどうだろうか。金銭管理をしてもらっているから、基本的には大丈夫なほうだろう。必要以上に欲しいとは思わない。けれども、欲しい物は必要な分だけで十分。不安ならば計算すればいいだけのことだ。
 人に対しても、物に対しても、お金に対しても、私は別に愛情を抱いていない。あるいは、気づいていないだけかもしれない。
 私は何に愛情を抱いているのだろうか。私は私自身を愛しているだろうか。自分自身を愛しているとはどういうことなのか。
 楽な姿勢をしたままこの文章を書いている。それ自体が、自分を愛していることの一つの証拠となるのだろうか、それはただ楽だから。お題だからと言った理由に過ぎないのではないか。
 自分が時間をかけているもの。苦痛となっていないもの。当たり前となっているもの。それにこそ、愛情を抱いているのではないだろうか。だからこそ、時間を注ぎ込む。愛という水を、種を蒔いた土に注ぐかのようにして。
 さて、私が何に対して愛情を注ぎ込み、抱いているのか。考えて、書き出してみても、答えとなるものは得られないままなのであるーー。

11/26/2024, 12:14:49 PM

 朝起きる。熱がある感覚がある。もしかして、風邪か。疑問を抱く。体温計で熱を計る。37.0。微熱である。
今日は平日。仕事の日。職場で計り直せばいいだろう。37.5になれば、体調不良で早退になる。しかし、世の中そう上手くはいかない。
 出勤している間に平熱になり、そのまま仕事へと直行となる。そうなると予想する。先読み程度だ。
 最寄り駅に行き、少し待ち、電車に乗る。いつもの通勤。熱も治まってきている。今計ったら、36.5や36.9ぐらいじゃなかろうか。そうなれば仕事だろうな。いつもと変わらない。
 職場に行き、体温計で熱を計る。36.5ぐらいだろうか。そうなれば仕事だ。潔く入ろう。
 音が鳴り、体温が表示される。37.4。見間違いじゃなかろうか。もう一度計る。今度は、37.2。
仕方ない。上司に報告して、その後、早退しよう。
 上司に報告する。念のため、病院に行くよう告げられる。それもそうだろう。熱以外、これと言って不調は無いのだから。
 帰りに病院に連絡して、受診の予約をする。念のため、別口から入るよう指示された。感染対策だから仕方ない。
 結果は熱発だった。喉の痛みも無かったしな。
 微熱だからと言って、甘くみるべきではない。それが今日の教訓だろうか。そう思った冬の一時であったーー。

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