終わらせないで。そう彼女は願う。せっかく勇気を出して告白したのに、それが終わってしまうなんて。
しかし、彼の決意は変わらない。彼女がどんなに願ったとしても、終わらせてしまうから。何もかもを。
終わらせないで、と繰り返し彼女は願う。願いを重ねるように。このままの関係を続けていきたい。他に道がきっとあるはずだから。
だがしかし、彼の決意は揺るがない。すべてはすでに決められている。彼はそれに沿って動いている。
イレギュラーがあるならば、彼女のことだけ。それでも、決められたレールは変えることが無い。
運命の時が迫る。彼女にとっての絶望の時が。彼にとっての終わりの時が。
そして、彼女の願いは叶うこと無く、彼は終わりの時を定めた通りに終わらせた。
彼女のショックは大きかった。どんなに願っても、願いは叶わなかったのだから。
その日以降、彼は彼女の前に現れることは無かった。避けられているかのように。
彼女にとって彼は。冷たくて怖くも優しい人だった。でも、定めた終わりを覆すことは無かった。
どんなに願ったとしても、彼の決意は不変で揺らぐことは無い。それを思い知らされてしまった。残酷にも。
彼のことを知る人たちは、彼のことを身勝手な奴だと批判していった。けれどもこれは仕方の無いことだった。
やり直したい。すべてを。この手で終わらせるとしても。その願いは決して変わらない。
不変の決意であり、願いでもあるのだから。
そして、皮肉にも世界は終わりを迎えることになる。管理者たちによる黒い嵐によって。
滅びを迎えることになる。彼と彼女が出会った世界はーー。
ーー運命というのは皮肉を孕むのが好きなもの。その皮肉を覆す術は誰も持っていないもの。人は為す術が無いのだーー。
11/28/2024, 11:19:34 PM