ジーキャー

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11/23/2024, 12:31:36 PM

 闇があった。そこには。敗者となった仮面の群々を呑み込む闇が。
次々と呑まれ落ちていく。抗う力も逆らう術も、何もかもが打ち砕かれて。
 落ちていって当然のことをしていた。それが敗者の運命。這い上がれることはできない。
 生贄による甘い蜜を味わった後には。這い上がれたとしても、生贄はそこに無い。
ただただ辛い事実のみがそこにある。だから、闇に呑まれるしかない。
 黒雷の鬼神の軌跡は滅びをただ遺すのみ。その滅びの後はただ闇が裂け目のように広がり、呑み込む。
 妄執の幻影も足止めることはできずに、無意味に散らされた。最後に落ちていくのは仮面の群々を率いていた女王の仮面のみ。冷温の闇に浸からされながら。
決して温まることの無い冷めゆくだけの闇に。冷めゆく鉄のように冷たい闇に。
 生贄を欲し、生贄を味わい、生贄を喪う。ただ、それに翻弄されるばかり。
 壊れたマリオネットが紡ぎ出す闇の語りは、その半生を傲慢に語る。
 対岸の火事のように、遠くを語り、近づいた時にはもういない。そして、為す術も無く焼かれてしまう。
小火のうちで消すことはできずに、火事の片鱗を語る。誰も理解することはできない。
 嘲りは最初のうち。しかし、現実味を帯びて牙を剥く時。大火となる。そして、落ちていくのだ。
 生贄による安楽を求めるとしても、いなくなる時のことを考えたほうが良い。
 永久の不在が生贄に臨んだ時。その時こそ、闇は裂け目を生み出して呑み込もうとするのだからーー。

ーーすべては虚構の中。されど、現実へ至りかねない。妄想は現想へと変わりゆくーー。

11/23/2024, 5:47:06 AM

 良い夫婦というものは、互いを愛し合い敬い合っているもの。
互いに愛や敬意を払うことを怠ることは無い。
 愛の炎は静かに、確かに抱き合っている。釜戸の火のように。
 夫も妻も愛や敬意を互いに受け取り合っている。日々、欠かすこと無く。
 二色の色で編まれたタペストリーのように途絶えることは無い。
糸が途切れ一色になるとしても、そのタペストリーは人生をかけて編み作られる。
 壮年のタペストリーは、どんなに美しいものなのか。それは作り出さなければ分からない。
 老齢になったとしても、そのタペストリーの美しさは損なわれること無く、美しいまま。
 若い時から編まれ行く二色の糸で編むタペストリーはそれぞれの違いや好みを反映している。
けれども、どのタペストリーも美しさは変わることは無い。愛の炎、敬意の絆で結ばれ編まれたタペストリーは不変の美しさを持っている。
 タペストリーを飾るどんな宝石があったとしても、夫婦が編み行くタペストリーに勝ることは決して無い。
 二人の人生が編み行くタペストリーは不変の美しさを持ったまま、これからも編まれ行く。
 絶えることの無い愛の炎と敬意の絆によってーー。

11/21/2024, 10:33:59 AM

 どうすればいいの?
 どうすればいいのだろうか。自分なりにやってみても駄目出しを受ける。
 どうすればいいのだろうか。五里霧中を駆け抜け迷うような感じを表現するには。
 どうすればいいのだろうか。最初から答えを提示してくれればいいのに。
 どうすればいいのだろうか。勝手に高く上げられたハードルを越えられない気持ちを。
 どうすればいいのだろうか。上手く伝えられない気持ちを伝えるためには。 
 どうすればいいのだろうか。感動したいのにできないもどかしさを形にするには。
 どうすればいいのだろうか。張り付いた目隠しを剥ぎ取るためには。
 どうすればいいのだろうか。言の葉を言の刃にしなければならないのか。
 どうすればいいのだろうか。先読みによる悪しき諦観に蝕む感覚に身を任せるしかないのだろうか。
 どうすればいいのだろうか。知識の擦り合わせをしていないことを告げるには。 
 どうすればいいのだろうか。強固に閉ざされた思考のプロテクトを破壊するためには。
 どうすればいいのだろうか。死にたい気持ちを生きたいに変えるためには。
 どうすればいいのだろうか。その疑問すべてを生じる根本はどこにあるのだろうか。
 どうすればいいのだろうか。心に引っかかる言葉を探すためには。
 どうすればいいのだろうか。言葉の海をスルリと逃さないためにも。
 どうすればいいのだろうか。意表を突くような仕方をするためには。
 どうすればいいのだろうか。すべてを正しい仕方で終わらせるためにはーー。

 ーー彼が遺した疑問の断片は、答えを得られたかどうかは分からないまま、思考の海を彷徨い続けているーー。

11/21/2024, 9:50:26 AM

 キミの宝物ってどんな物なのかな。形が有る物かな。それとも、形が無い者かな。
 どちらにしても、形が有る物でも無い物でもいいんだ。宝物って言うのはね。
 けれど、経験に勝る宝は有ると思うかな。それとも無いと思うかな。
 経験の切っ掛けとしての宝は有って良いと思う。だけど、どんな経験をしたのか。それが大事になってくるのさ。
 スライムばかりを倒していった経験よりも、ドラゴンと戦った経験。どちらが価値が有るのか。キミには分かるかな。
 スカイダイビングをした経験と、その動画を見た経験。どちらに価値が有るんだろうね。
 データが消えれば、ゼロからのやり直しになるのと、1や2からのスタートになる経験。どんな経験をしたいかな。
 さて、改めて問うけど、キミはどんな宝物が経験となっているのかな。
 答えはキミ自身が知っているはずだよ。キミの中にある経験という宝物は誰にもシェアし難いもの。キミだけの経験なのだからねーー。

11/19/2024, 11:26:59 AM

 キャンドルは灯される。暗い部屋の中を、弱い灯りが照らす。
 薄暗いなか、何も無い部屋を照らしている。
 その部屋には何も無い。ただキャンドルの灯りのみ。
 その部屋の中央に彼は座り、静かに目を閉じる。
 瞑想するために、そのためだけに何も無い部屋を借りた。
 余計な物に気を紛らわされたくなかったから。
 目を閉じて集中する。自分の呼吸に。4秒かけて息を吸い、2秒止めてから、4秒以上かけて息を吐く。ただそれを繰り返す。
 彼は集中する。呼吸をすることに。全神経を向けている。現在(いま)を感じることに。現在(いま)に集中する。
 意識を彷徨わせてはならない。すでに起きた過去に思いを向けない。
 意識を彷徨わせてはならない。これから起きるであろう無限の未来に思いを向けない。
 ただ、意識をここに、ここにある現在(いま)へと向ける。それが瞑想。
 やがて、一迅の風が入り込み、キャンドルの灯りが消される。それでもなお、彼は瞑想を続けている。
 いつまで続くのか。それは誰にも分からないーー。

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