晴れた夜には星には、見上げれば星が見える。遙か遠くから煌めいている星々が。
地球から煌めいている星々は一等星の星々で、さらに遠くにあり見えにくいのが六等星の星々。
いづれ、滅びゆくとしても、その軌跡を誰も知らない。だから、想像するのだ。
その星の誕生と描いた煌めきの軌跡とその終わりを。
今もなお煌めき続けている星々を繋ぎ合わせて、星座にする。意味が有るものにしようとする。
けれど、星々は煌めき続けるために産み出されたもの。それが地球に住む生き物に力を及ぼすことなんてない。
偶々、星が関係していると思われているけど、そんなことはないのだ。
星々はただ夜空をその煌めきによって彩るために存在している。ただそれだけでしかないのだからーー。
私と一緒に躍りませんか? 曲のリズムに合わせて。
あなたが踊るのを好きでも嫌いでも構いません。ただ、私はあなたと踊りたいのです。
音楽の地平線が奏でる演奏に合わせて。短い一曲でも良いのです。
凍てついた花の曲でも。魔術師や雷神の曲でも。東方の星々の曲物語でも。英雄の曲でも。
聞くだけでなく踊るのも楽しみはあるものです。
平和に花を咲かせるのが踊りなのですよ。戦場での踊りは誰からも好まれませんから。
嬉しい時も悲しい時も、踊りは自分の気持ちを表すためにもあるのです。殻に閉じ籠もるだけではつまりませんから。
私があなたに合わせます。なので、気楽に思うままに踊りましょう。
ただ、私はあなたと踊りたい。それだけなのですからーー。
もう一度だけ、あなたに巡り会えたら私はきっと恋に落ちるだろう。
そして、かつてと同じように日々を重ねていくのだろう。
二本の線が交じり合い、一つの綱を作り出すように。
その終として、あなたに、愛するあなたに私の想いを告白して、愛を育んでいく。
運命の赤い糸のように、人生を交差させていく。私の糸とあなたの糸とで。
織り合わせて一枚の布地にする。二人の思い出で飾り合わせて。
何かが二人を引き裂こうとしても、二人の糸で縫い合わせていけばいい。
だから、不安に思わなくていいんだ。
これからも、二人で縫い合わせていこう。
人生というタペストリーを描き紡ぎ出していくためにーー。
奇跡をもう一度だけ起こせるとしたら、何を起こしたいだろうか。
彼ならこう願うだろう。親友の体調が良好であることを。
実はこういうことだ。
彼にはかけがえのない友人がいる。いや、親友と言ったほうが正しいか。
その親友が今、重い病気に罹り入院していた。数ヶ月で退院はできたが、再入院の可能性がある状態だ。
今は自宅療養中だが、いつ悪化して再入院するのか分からない。だからだろう。彼が心配するのは。
数ヶ月で退院できたが、今度は何時まで入院するのか。親友とこのまま離ればなれになってしまうのか。
彼にはそんな恐怖が心の中で渦巻くようにこびり付いていた。
最近の親友の状態は、検査が増えている状態だった。健康そうに思えても、医者からは良くなさそうな感じなのだろう。
だからこそ、彼は願っていた。親友の体調が悪化しないことを。良好な状態をキープすることを。健康な状態へと早く回復することを。
それから数週間後のこと。親友の検査の日がやって来た。そして、長い時間がかかったが、結果が告げられた。
経過は良好であるということ。そして、順調に回復に向かっているとのことだ。
その報告は二人に安堵をもたらすものだった。肩の力が抜けすぎるほどに。
その後は医者からの注意事項が続き、話が終わった。
彼は思っていた。奇跡はもう一度起きたのだと。親友の体調が良好になったのは奇跡が起きたからだとーー。
夕暮れをぼぅーっと眺めながらたそがれる。沈み行く赤い夕日と広がり行く青い夜。その境界線をただひたすらに眺めている。
いつ頃から眺め初めたのか分からない。ただ、気が付いたら日々の習慣になっていた。
完全に太陽が沈むまで眺め続ける。飲食もせずに。空腹感はあるけれど、不思議と気にならない。
沈んでから帰路に着き始める。それが私の日課だ。我ながら変わっていると思う。
けれど、あの赤と青のグラデーションに気づき、それを眺めて、楽しんでいる。
私しかいないのならば、独り占めしていることになる。あの赤と青のグラデーションを。そんなことないだろうけども。
夕暮れの時間帯に空を見上げれば、曇り空じゃない限り、あの赤と青のグラデーションは見える。
それに気づくか気づかないかの違いでしかないのだからーー。