真夜中の通話、海辺でしたえっちなキスと、裏山の死体。
ひそひそ話をする影が三つ。
流石にスコップは馬鹿だったかも。
好奇心の錆びた黄色を突き刺すと、途端に墓らしくなった。
疲れた、寒い、怖い。
でも――これでやっと、二人だけの秘密。
片思い中の彼女と片思いに気付いた彼と、彼女の親友。
相談なんてしちゃうから、二人だけの秘密じゃなくなっちゃった。
【二人だけの秘密】2024/05/03
マルクス・アウレリウス・アントニヌスって最近習いましたマルクス・アウレリウス・アントニヌスってすごい長いですよねだってマルクス・アウレリウス・アン
Color fullでカラフル。満ちた色はきっと黒。
「カラフルって没個性の対義語だと思うんだよ」
それはモノトーンと私は思った。
次の日彼女は髪を金色に染めた。服の趣味も随分と変わって、カラーコンタクトの嘘つきの青がちぐはぐに彼女をかたどった。
アイドル養成所の中で、彼女は一番カラフルだった。
……誰かから借りた極彩色は、彼女の輪郭を大いにぼかし、埋没した個性がもう一度覗くことはなかった。
彩度の低い色が塗り固められているのを何と呼ぶのかしら。
【カラフル】2024/05/01
雑駁。これ今月中は続きます。
楽園を知らないけど、私の生きてる世界は楽園じゃない。
花なんて行きしなの道にいくらあっても気に留めないのに、楽園には花が咲いていてほしいと思う。そう私は花にリソースを割ける余裕を手に入れたのだ。
楽園が幸せな場所なら私の楽園は夢の中。
猟奇殺人犯の楽園には死体が転がっているのかしら。
【楽園】2024/04/30
雑駁で申し訳ない!
一生かかっても読み切れない蔵書の図書館が私の楽園です。
日々の公共交通機関や、自家用自動車に乗る何倍ものものが風に乗っている。
例えば噂、例えば香り、例えば綿毛……。
想像もし得ない遠い場所まで行くことはないけど、もし風に乗れたならば
いつも生きている社会がほんの少しでもちっぽけに見えるだろうか。
風は誰かの麦わら帽子を吹き飛ばしながら、また縁を乗せる。
風に乗りたいのは、綿毛や木の葉が羨ましいからなのか、はたまた無目的な彼らが羨ましいからなのか。
【風に乗って】
雑駁の日。1153
歯抜けゴールデンウィーク楽しんでるー?
大変なる後づけではあるが、刹那は0.013秒くらいに当たるらしい。
小説家に“刹那”を多用する者が居た。確かに使い勝手のいい言葉で、語感も羅列も類義語である瞬時、寸陰とは一線を画す(須臾とは僅差だろうが)。
そんな彼が冒頭の事実を知った。
「0.013秒……」
小説家は手広くジャンルをつまんでいた。しかし、そのどの小説にも刹那はあった。
彼と目が合う刹那、建物が崩落する刹那、静寂の刹那……。
全て0.013秒で起こっていたことであったのだ。
たった1刹那で恋に落ちられるとは到底思えない。動体視力が良すぎるのだ。か細いヒロインが持って良いキャラ付けではない。
建物の崩壊が1刹那で行われるときは珍獣か何かが上から懸命に全体重をかけるしか無いだろう。それでも1刹那で完了するか怪しい。しかも総じて怪獣小説になってしまう。
1刹那の静寂を静寂と捉えるのは心配性の域を超えた神経の狂い方である。
しかし小説家は未だに刹那を使う。
彼の理論では体感の「話なんです。恋に落ちる瞬間は実際刹那的でもあるし、ある人にとっては劫でもある。建物の崩壊という衝撃はきっと刹那的に脳裏に焼き付き、センセーショナルな短編のような忘れられない物語になる。刹那の静寂は当人の願望の表れでもあるでしょうしね」
言い訳がましい彼の人気は初出版から落ち込み続けた。彼の理論を通すならば、世間からの彼の印象は刹那的人気であった人というわけである。
【刹那】
テスト頑張りたいので投稿の頻度か質が落ちます。てか現に落ちてます。
刹那は右手が疼いていた頃によく使っていたのが恥ずかしくてあんまり使えません。