私の心を奪ったんだから
私の心臓として
死ぬまで私と添い遂げて
【My Heart】2024/03/27
あきてきた、消えるときは言うね
保育園の頃の世界のシンプルさとか
小学生の頃の今を生きてる必死さとか
中学生の頃の自己愛、自己憐憫とか
今の私がないものとして欲しがるものは、過去の自分が全部持ってた。
【ないものねだり】2024/03/27
高校で私は何を失うだろうか。
※直接的な表現がアリ〼
――その人のために何か出来るのは、恋の始まりよ。その人のことが好きじゃなくても、無自覚の恋に落ちてるの。
春をいくらか売って、彼女の言葉は御守りになった。
恋人と身体を交えるのは別におかしなことじゃないし、私はこの人に恋をしてるんだから、この行為は後ろめたくも辛くもない。
しかし、それから数日後、無自覚の恋を語った彼女は、ソープの屋上から身を投げた。
それで、私はようやく夢から醒めた。
私が恋をしているのは、馬鹿みたいに腰を振る男じゃなくて、私だ。私のために身体を売ってる。明日、生きるため。私が明日生きるため……。
自分のことなんて好きじゃない。でもこれは確かに、生まれつきの、無自覚の恋だった。
【好きじゃないのに】2024/03/25
今日の天気はくもり、ところにより雨だけど?
ああ、春なのにずっと雨で気が滅入るって? 仕方ないよ。ここは「ところ」だからね。明日も雨。
梅雨になれば雨、ところにより晴れになるから、晴れが見たいなら少し待ってよ。
難儀だよねえ。「ところ」じゃない場所の人は、ここの天気が珍しくて仕方ないみたいだけど、「ところ」の住人は辟易してる。
君は何で「ところ」に来たの?
……桜? ああ「ところにより満開」か。そうだね、他の場所よりうちは満開になるのが早いかな。「ところ」だから。雪も? 君って四季が好きなんだね。いや、希少性が好きなのかな?
だって「ところ」は季節の一番を攫うけど、本格的にその季節になると季節なんて感じられないからね。
君は季節の移り変わりじゃなくて、希少性が好き。「ところ」にぴったりの住人だ。末永くね。
【ところにより雨】2024/03/24
全てのところによりの「ところ」に該当する場所があるという設定までは考えました。無計画。
「てか特別って言葉ってイマイチ特別感無くないですか?」
始まった。彼女は変な後輩だ、以上。
「そ?」
私は特別販売の珈琲ティーをちょっと見てみた。私からすれば特別って書いてあれば特別だ。凡非凡の区別なんて器用なこと私はできない。
「特別って言葉ってもーすごいじゃないですか。サービスとかあなただけとか、そういう言葉と並べて簡単に使われすぎちゃうんです。その過程で特別は特別じゃなくなっちゃうっていうか」
「ナルー?」
珍しく言いたいことがまとまっていないらしい。彼女はいつものマシンガンにオイルを差す何かを記憶から探しているようだ。
「つまりその、本当に特別な存在にはカギ括弧つけたくないですか?」
「カギ?」
「そうです。他の特別とは違う特別で、なおかつ強調も出来て、特別を閉じ込めておける。カギ括弧は私のやりたいこと全部やってくれるんです! そう、カギ括弧が私なんですよ――」
「じゃあ、今日は特別ですよ」
「特別な日にしましょう」
くだらない特別を重ねればいずれ見つかるだろうか。
私だけのものにしたくて、でも自慢したくて、誰とも違う――
あなたは「特別」……
なんて、言える人。
【特別な存在】2024/03/23