※直接的な表現がアリ〼
――その人のために何か出来るのは、恋の始まりよ。その人のことが好きじゃなくても、無自覚の恋に落ちてるの。
春をいくらか売って、彼女の言葉は御守りになった。
恋人と身体を交えるのは別におかしなことじゃないし、私はこの人に恋をしてるんだから、この行為は後ろめたくも辛くもない。
しかし、それから数日後、無自覚の恋を語った彼女は、ソープの屋上から身を投げた。
それで、私はようやく夢から醒めた。
私が恋をしているのは、馬鹿みたいに腰を振る男じゃなくて、私だ。私のために身体を売ってる。明日、生きるため。私が明日生きるため……。
自分のことなんて好きじゃない。でもこれは確かに、生まれつきの、無自覚の恋だった。
【好きじゃないのに】2024/03/25
3/25/2024, 11:26:21 AM