NoName

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7/15/2023, 12:48:05 PM

揺れるカーテン。冷たい風が吹いてくる。
テーブルの上には空き缶が数本。

朝6時とは思えない空気。
朝の清々しさがなく、
まるで深夜のまま時が止まったようだ。

乱れるベット、下着。
その横には生まれたままの姿のあなた。そして女。

「ねえ。」

......

「ねえ。ねえ!」

眠そうな女。慌てるあなた。

あなたと目が合う。

もういい。

あなたから目をそらす。

覚悟は出来てる。

再びあなたと見つめ合う。

「もう、言い訳すらしなくなったんだね。」

「......」

「いいよ。全部終わりにしよう。」

涙すら出ないこの気持ち。

私には、あなたしかいなかったのに...。



『終わりにしよう』

6/25/2023, 12:49:22 PM

その繊細な花をさわると、

花は傷ついてしまった。

傷を心配し優しく撫でると、

さらに傷ついてしまった。

いっそのこと引っこ抜いてしまうと思うが、

俺にそんな勇気はない。

ただ花を抜くだけじゃないかって?

違うんだよ。

この花は、彼女と育てた花なんだよ。

あれは確か、ちょうど1年前くらい?

彼女が「これ育ててみようよ!」と突然買ってきた。

その後半年くらいは仲良く育てたんだけどな。

次第に喧嘩が増えて、浮気された。

浮気でもしないと心が持たなかったんだろうな。

俺と別れてからは一途に頑張っているらしい。

わかってると思うが、

俺はその花も捨てれないくらい未練タラタラだ。

本当に好きだったし、今も好きだ。

まったく、繊細な彼女だった。

少しのことで傷ついて、

1度傷つくと何でもネガティブにとらえて。

まるでこの花のようだったよ。


『繊細な花』


6/25/2023, 3:39:08 AM

1年後、あの人は16歳になる。
今年のように祝えて、今年のように喜んでもらえて...
来年もそんなふうになるといいな。

1年後の今日、また連絡しよう。
大好きなあの人に喜んでもらえるように......。


『1年後』

11/4/2022, 11:24:16 PM

哀愁をそそる秋の終わり。

神社の隣の、紅葉がつくる道。

来月2歳になる息子を抱っこして、

今年もその道を歩く。

去年は、5歳の娘と手を繋いできたな。

今年は、娘は妻に預けてるけど...。


「なあ、ねえねと来たかったか?」

「やや!ねえねといたかった」


多分、娘が居ないのが嫌だという意味だろう。


――――――――――――――――――――――――


「来年は、家族全員で行こう。

あなたが3人目を産み終わったら。

あなたと、息子と、娘と、3人目の子と、僕の5人で。」

そう言うと妻は微笑み、涙を流した。






おでんのたまごが大好きで

コンビニに行く度買ってたこと、

幼稚園が嫌で、ずっと泣き叫んでたこと、

弟が産まれて、毎日可愛がっていたこと.........。

これから先も、忘れられない思い出。

1年前に亡くなった

大切な娘との、5年間。

来年はきっと、5人であの道に――。



『哀愁をそそる』













11/4/2022, 7:16:24 AM

鏡の中の自分は、鏡の外の自分にとらわれている。

鏡の外の自分が動けば、鏡の中の自分も同じように動く。

鏡の外の自分が動かない限り

鏡の中の自分が動くことはない。

鏡の中の自分とは

唯一誰でも操れる操り人形なのかもしれない。



『鏡の中の自分』



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