百瀬

Open App
5/9/2024, 1:41:33 PM

空いた右手で頬を撫でる手つきは、子供をあやすそれ。眠れぬ時はそっと目を塞ぎ、眠りに導く。その姿を見たことはない。だが、手のぬくもりと、達筆な書き置きが存在を証明している。
そんなある日、私は思い出した。今は亡き彼の、最期の言葉を。滲む視界の淵に、馴染み深い黒の指が映り込んでいる。

Title「姿無き忠義」
Theme「忘れられない、いつまでも」

May.9

5/7/2024, 2:45:14 PM

息が詰まるような暗い日常に呑まれそうになる。そんなときは、彼女が落としたであろうお守りを握る。手放し難い暖かさが、僕を守る最後の砦。
穏やかな春の香りと、濡羽色の髪。心を溶かす柔らかな声。朧気な記憶の中で、今も鮮明に残っている。
君を主と呼ぶ日を夢見ながら、僕は望まぬ夜を凌ぐ。

Title「幻惑の桜」
Theme「初恋の日」

May.7

5/5/2024, 1:59:24 PM

思い返してみれば、彼と出会った日もこんな雨でした。逃げていた身では、大柄で刀を携えていた彼は恐怖そのものだったのです。

「こちらに。この夜を凌ぐくらいならば」

真剣に向き合ってくださる彼の好意を、誰が無碍にできるのでしょうか?真っ直ぐな目と温かな手のひらは、あの日から変わらないのです。


Title「我が身を灯す者」
Theme「君と出逢って」

May.5

5/4/2024, 7:06:19 AM

二人だけの秘密?
そうだね……皆に隠れて、夜にこっそり二人でお茶会することかな。

Title「二つのカップ、一つの皿」
Theme「二人だけの秘密」