冬野さざんか

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11/26/2024, 4:00:54 PM

 悪いこと言わない。風邪薬飲んで寝ろ。毛布にくるまって布団かぶって。
 微熱で済んでるうちが花。そのうち喉にきて鼻にきて、起き上がれなくなるんだから。

「微熱」

11/25/2024, 6:50:11 PM

 肩にかけたままの毛布を引きずってきて、絡まるように窓辺に座る。朝焼けから少し経った冬の口の朝の寒さが鼻先を冷やす。
 ああ、さむいさむい。
 毛布を体に巻きつけ直して、四角い日差しを享受する。
 太陽の下はまだ、ほんのちょっとはあたたかい、冬の足音響く朝のこと。

7/7/2024, 4:36:19 PM

 七夕前夜に土砂降りで、ああ今年は会えないのかと少し寂しく空を見上げた。
 結果来るは七月七日。見事に快晴。
 しかしながら、やはり織姫と彦星は、再会ならずであっただろう。
 熱中症警戒アラート発令。外出はやめておくに限る。だって令和のこの時代、リモートでいつでも会えるでしょ?

「七夕」

7/2/2024, 3:13:37 PM

 窓を開けると途端に、取り巻く空気が憂鬱な季節に塗り替わる。快晴だ。もう既に外出したくない。セミなんて鳴いちゃってさ。ああもう今日一日中家にいたい。まあそういうわけにもいかないから、じっとりと窓の向こうのコンクリートを睨んでから朝ごはんを食べる。なんでもいいや。適当に焼いた食パンに、バター…いや、今日はジャムでいいか。ジャムに食パンに味噌汁…は、変か。今日はいいや。
 むぐむぐ頬張って豆乳で流し込む。窓向こうから差し込む光に急かされるように身だしなみを整えて、最後の仕上げに。
 日傘だ。
 頼むぞ相棒、にっくき夏の日差しから、私を守ってくれたまえ。
 では、行ってきます。ドアを開けた瞬間早々にくじけかけたのは内緒。

「日差し」

6/18/2024, 11:33:21 AM

 水滴が落ちるのを見ていた。
 窓の向こう、水滴が落ちるのを見ていた。
 窓の向こう、遥か上空から、水滴が落ちるのを見ていた。
 窓の向こう、遥か上空から、たくさんの水滴が落ちるのを見ていた。
 雨天。
 水滴はたちまち無数の雨の礫となって、コンクリートに落下する。
 コンクリートに落下した無数の雨の礫は互いに結びつき合って、大きな水溜りになった。
 大きな水溜まりに、無数の水滴が落下する。
 雨が降る。

「落下」

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